第99話 リモート会議

ケイトだけがマグノリアに連れられて秘密の部屋へとやって来た。


「これは……」


「凄いじゃろう。これは初代達がダンジョンから持ち出した最上級の魔道具、遠見の鏡じゃ」


マグノリアが自慢げに話すが、ケイトはそれを見た事があった。


遠見の鏡って、ゲーム環境モリモリの部屋なだけじゃないか!


秘密の部屋は2畳程の空間にデスクが置かれ、4枚の24インチモニターにゲーミングチェアが一つ置いてあった。


キーボードは置いてなく、映像の切り替えスイッチの様な物が置いてあるが、見た感じはゲーム環境が整った部屋に見える。


モニターでリモート会議をするシステムなのだろう。


遠見の鏡と言うのは名前負けではないか?


などとケイトが考えていると、マグノリアは意気揚々とゲーミングチェアに座り、座面を回転させてモニターの方へ向くと、スイッチを押してモニターをつけた。


「これで少し待てば各国の王に会議の知らせが届く。待つといい」


ケイトは座る椅子が無いので、立ったままでモニターの向こうに各国の王が映るのを待った。


しばらくすると、1人、また1人とモニターに映り、全員が集合した所でマグノリアが話し出した。


「それでは、みんな集まったな」


「それで、なんのようじゃ?」


「ん? 誰があるのか?」


「ケイト殿じゃないか? 今ウィンダムに居るのかい?」


「余り人にこの場所を漏らすのは感心しないぞ、マグノリアよ」


三者三様の反応をする中、マグノリアは本題を話し始めた。


「そう言うな、急用でな。だからこそケイト魔王がここにおる。アンクリシアが大変な事をしている様じゃ。お主らの所の商人も貿易はしておろう。それ以外も、旅人が被害にあっとるやも知れん」


マグノリアは、ケイトから聞いた事を説明した。


人を攫って魔術儀式の材料にしている事を。


「そう言う訳での、ケイト魔王の家臣も被害に遭い、救出する際にその現場を目の当たりにしたようじゃ。これ以上の被害を抑える為に、ケイト魔王のクロノソレイユ魔国と我が国、そしてお主らの国の名をもって断罪する為に名を貸せと言うことじゃ」


だいぶ端折ったが、概ねあっている。


ケイトとしては、自分の国が魔国と呼ばれた事が気になるが、今は口を挟むべきではないだろう。


話の内容を理解した各国の王は、五大大国の連盟でクロノソレイユ魔国を支援して、連盟でアンクリシア王国の罪を断罪する事に賛同する。


決まったら直ぐに宣戦布告できる訳でもなく、五大大国はアンクリシア王国に宣戦布告する為、色々と準備を進めるのであった。

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