第84話 再会
町の人に話を聞いてガルマンとメルピアの住む家へとやってくると、ガルマンが家の外に出ていたのでどの家かはすぐに分かった。
ただ、その光景を見てケイト達は固まった。
ガルマンは外で洗濯物を干していた。
それだけなら進んで家事をするいい夫だ。
その姿が花柄のフリル付きエプロンで、サイズが合っておらずピチッとしていなければだが。
ガタイのいいスキンヘッドのおじさんがその姿だと、どう声をかけとうかと迷ってしまい、ケイト達は口角をヒクつかせて足を止めた。
人と感覚が少し違う一体を除いてであったが。
「ガルマンー、来たのじゃー!」
ガルマンは、自分を呼ぶ声を聞いて、ケイト達の方を向いた。
「おお! ケイトとミステルトじゃないか!」
洗濯物を干すのを中断してガルマンはケイト達の方までやって来た。
「ツムギは一緒じゃないのか? それに、そっちの2人は?」
ガルマンはケイトの周りを見て質問をした。
「ああ。話せば長くなるんだ」
「そうか、なら家の中で話そう。あ! ちょっと待ってくれ。洗濯物干しちまうから!」
そう言うと、格好はあれだがガルマンはテキパキと洗濯物を干し終えて、ケイト達を家へと案内した。
「あなた、ありがとう。パパはおちごと終わりまちたよー」
メルピアが、赤ちゃんを抱っこして帰ってきたガルマンを出迎えた。
しかし、ガルマンに続いてケイト達が入ってきた事で、一気に茹蛸の様に顔を赤くして口をパクパクとさせている。
「ああメルピア、ケイト達が来てくれたぞ。 ケイト、メルピアが抱いている子が俺達の子供のカールだ」
ガルマンに反応して「あうあう」と手を伸ばす可愛らしい女の子の様な子供だが、名前からするに男の子なのだろう。
「おお、これが人の赤子なのじゃ? かわいいのじゃぁ」
ミステルトが近寄って指先で頬をつつこうとすると、その指をカールはゆっくりと掴んだ。
「ミ、ミステルト、触って大丈夫なの? 怪我しちゃうんじゃ!」
ミステルトの行動にアリッサは驚いて咎めた。
その声にビックリしたのか、カールは表情を急変させてしまう。
「うぇ、うぇ、」
「ど、どうしよう。どうすればいいの、ケイト!」
カールの様子にあたふたするアリッサに、リオが横からデコピンをした。
「落ち着きなさい。大人が慌てると、赤ちゃんも不安になるのよ」
さほど痛くないデコピンで、動きを止めたアリッサに注意すると、リオはカールに近寄った。
そして、優しく「怖かったね、もう大丈夫だよ」などと言いながらカールの眉間を撫でた。
優しく眉間を撫でると、カールはゆっくりと眠ってしまった。
「子供の扱いに慣れてるんだな。気持ちよさそうになちまったよ。お嬢ちゃんはいいお母さんになるな」
「と、歳の離れた妹の面倒を見ていた事があるだけです」
笑顔でリオに話しかけるガルマンに、リオは恥ずかしそうに顔を背けた。
「ケイトにミステルトいらっしゃい。それで、私にもこの可愛い2人を紹介してくれるかしら?」
メルピアの言葉にガルマンは「ははは」と笑った。
「俺も今から聞くところなんだ。ケイト達はテーブルに座ってくれ。お茶を淹れよう」
「そう言う事なら私はカールをベッドに寝かせてくるわ。ゆっくりお話をしましょう」
カールはそう言ってケイト達をテーブルへ案内するとお茶を淹れに行った。
メルピアもカールをベッドに寝かせに行ってしまう。
2人が戻ってきて、まずは自己紹介から話は始まるのであった。
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