第81話 旅の始まり
国民を受け入れると言っても、自分の国からわざわざ新しい国にやって来る人は少ない。
五大大国は豊かな国の為、新しくまだ出来上がっていない国に移るメリットは無いのだ。
なので、他国から有能な知人でも連れて来て家臣にする案が出たのだが、知り合いを頼れるのはアリッサ達とレティシア嬢だけである。
他は異世界人とドラゴンであるからだ。
アリッサ達の知り合いは貴族の引き抜きになったり、学園で育てた有能な生徒を引き抜く事になるので、控える事にした。
レティシアは離れて住む家族や知り合いに声を掛けて見ると言っていたが、それぞれ家族や生活がある為、返事待ちだ。
そして、ケイトはミステルトと共に旅で出会った知り合いに声を掛けてみる事になった。
とりあえず、顔を見せると約束したガルマンとメルピアの夫婦だ。
彼らの所は子供も生まれている頃だし、会いに行くついでに話してみる事にしている。
その後は、ケイトの記憶を遡る旅をする事になっている。
これは、ケイトが時魔法の事をアリッサ、エルサ、リオの妻になる3人とミステルトに打ち明けた事で決まった事である。
アリッサ達との学園生活や、リア達との旅の記憶が、時魔法を使ってダンジョン攻略をして、遠い記憶になってしまった事を告白したのだ。
今は一緒に過ごす事で、こんな事もあったよね。と思い出す事も多い。
だから、記憶喪失の人が過去に過ごした場所を巡る様に、老後に、生まれた場所を見たいと言う人がいる様に、旅のついでにこの世界に来てからの道のりを旅しようと言う話になったのだ。
まだ国として動き出したばかりだが、その間は仲間に頼る事にした。
その為に色々と法も作ったし、何かあれば、リオに渡した指輪の上位互換の《繋がりの腕輪》と言う魔道具でいつでも連絡してもらえる様にしてある。
とりあえず、旅のメンバーはケイト、ミステルトとアリッサにリオである。
エルサは、国に残ってくれる。
「本当はついていきたいですが、主不在の国を動かすのは妻の勤めです。その代わり、帰って来たら2人の時間を沢山所望します」
との事だ。
思い出してみれば、初めて出会った時から見れば随分とデレたと思う。
会えない時間が愛を育むと言うのもあながち間違いではないとわかる。
今回も、馬車の旅である。
準備ができれば、仲間に見送られて新しい旅が始まる。
ケイトはこれから時魔法を使わないと決めている。
今までの旅で、この大切な思い出と、思いを失いたくないと思ったからだ。
副産物ではあるが、色々なスキルを手に入れたし、もうダンジョンに潜る必要もないのだから。
出発の日は、この旅を歓迎している様に青空が広がっていた。
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