第63話 潮干狩り
ケイトとミステルトがこの街に来てから数日が経った。
数日経つと、仲のいい町民等もできてくる。
主に、何事にも興味をもつミステルトを微笑ましく見るおじさんおばさん達とであるが。
ミステルトの美貌にやってくる男もいるのだごが、ミステルトが興味ないので話が噛み合わない。
それどころか、一度騙して連れていこうとした男が、ミステルトに途中で殴り飛ばされた事があり、下心のある男は近づかなくなっていた。
「主、見て欲しいのじゃ!」
ミステルトが自慢げに突き出した右手に握られていたのは、新品の熊手であった。
「熊手?」
「さすが主、物知りなのじゃ!レーちゃんに誘われたのじゃ!明日は潮干狩りに行くのじゃ、なんと貝を砂からたくさん掘るのじゃ!」
レーちゃんとはこの町の海女さんのリーダーでレティシア
ミステルトと仲良くしてくれている。
「そうか、たくさん取れるといいな」
「任せるのじゃ!美味しい貝を主に捧げるのじゃ!」
「んな大袈裟な。でも、楽しみにしてるよ」
「うむ!」
ケイトの返事に、ミステルトはまだ取ってもないのに自信満々で頷いた。
「それじゃ、明日俺はダンジョンにでも行って来ようかな」
この辺りにも一つダンジョンがあるのは、町民の話で分かっている。
ミステルトの面倒をレティシア嬢に見てもらえるので、その間に行ってこようとケイトは考えたのだ。
その後、よほど楽しみなのか、眠るまでミステルトの鼻歌は止まらなかった。
翌日、ミステルトの格好は日本の魚屋の様なの格好であった。
いつものすらっとしたドレスの様な防具の付いた物ではなく、ゴムの繋ぎの様な服装。
勿論足に履いているのは長靴だ。
これも、熊手と一緒にレティシア嬢が貸してくれたのだそうだ。
「主、早く行くのじゃ!」
朝ごはんを食べて準備万端のミステルトがケイトを急かす。
ケイトも一緒に浜まで行って、レティシア嬢にミステルトがお世話になる挨拶をしてからダンジョンに向かう事にする。
「潮干狩りは逃げないから」
ケイトは苦笑いで準備を整えると、ミステルトに手を引っ張られて、浜へとでかけるのであった。
浜に着くと、レティシア嬢は既に待っていた。
「よく来たね。おや?今日は主ちゃんも一緒に潮干狩りするかい?」
主ちゃんとはケイトはのことである。
ミステルトが主と呼ぶので、レティシア嬢にケイトはそう呼ばれていた。
「いえ、今日はミステルトがお世話になるので挨拶を。 それと、これ、汗をかいたら水分を取らないといけないですから」
「ほんと、あんた達はあべこべだねえ」
ケイトが挨拶をして、差し入れの飲み物を渡すとレティシア嬢は楽しそうに笑ってそう言った。
「レーちゃん、早く始めようなのじゃ、今日は主にたくさん貝をご馳走様するのじゃ!」
「はいはい、それは気合い入れて頑張らないとね」
「それじゃ、お願いします」
ミステルトが急かすので、最後にもう一度挨拶をしてケイトはダンジョンへと向かった。
1日潮干狩りをするそうなので、帰りは夕方くらいでいいだろう。
ダンジョンに入ったら時を止めるので、ケイトは行き帰りくらいは、時を止めずに歩いてダンジョンまで向かうのであった。
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