第58話 人助けの旅
少年は、炎を見て高らかに笑っていた。
少年は、この世界に召喚されて、自分は選ばれたのだと悟った。
少年は、小さい頃からヒーローに憧れていた。
正しい行いをして、皆んなから尊敬されるヒーローになりたいと思った。
しかし、世の中は、正しい行いをすると疎まれる。
学校では風紀委員を務め、行いの悪い生徒や、学生らしからぬ行いをする生徒を注意して、正しい方向に導く為に努力していた。
しかし、学校で自分の事を噂する声は、余計な事をする奴や、いちいちうるさい奴と言ったもので、生徒からの印象は良くなかった。
それも、なんと先生さえも「厳しすぎるのではないか」や「もっと周りの事をよく見ろ」などと、生徒の非行を助長する様な発言が目立って腹立たしかった。
しかし、この世界に呼ばれて、初めての言葉は謝罪とお願いだった。
この世界は今、魔王やモンスターの脅威に襲われていて大変だそうで、異世界から勇者を呼ぶしかなかったそうだ。
そして、選ばれた勇者が僕だ。
憧れたヒーローの様に、この世界の平和を守る勇者に選ばれたのだ。
国から免罪符を渡されて、清廉潔白な世の中を作る為、神様から強力な能力まで貰らっている
召喚した国から必要物資を与えられ、僕は魔王を倒す旅に出た。
そして少年は人々を助ける旅をして、今、目の前の燃える田畑を見て上機嫌で笑っていた。
勇者が村にやって来た。
この少年が他の勇者達と違ったのは勇者と宣言して旅をしていた事であった。
伝説の勇者の再来。
その噂に困っている民達は、勇者に助けの手を求めた。
その結果がこれである。
この村ではモンスターの被害が大きくなり、冒険者を雇おうにも、金が回らずに四苦八苦していた。
この困っていた所に、旅の勇者が現れて手を差し伸べてくれたのだ。
村人達は救いの手を握り返した。
この村は田畑で農業を営み、そこで得た収穫物を町に卸して生計をたてている。
なので、モンスターの被害で田畑が荒れれば生活が成り立たない。
少年は村長から話を聞いて自信満々にモンスターの殲滅を引き受けた。
勇者として得た力は凄まじく、これまでモンスターに負けた事は無い。
モンスターを倒せば倒すほどステータスも上がる為、倒せば倒すほどさらに簡単になっていく。
だからこの村でも、望み通りにモンスターを焼き払ってやった。
この程度であれば、一撃である。
モンスターが現れる田畑と、その奥にある森を《最上級火魔法》で焼き払ってやればすぐに終わる簡単なお仕事であった。
少年は一仕事終えて村を去る。
村人の感謝の声は受けとらない。最上級火魔法の威力に、驚いているうちに立ち去るのだ。
ヒーローは、見返りを求めてはいけない。
少年はいい事をしたと気分上々で次へと向かう。
少年、フレミュリアの
【マサヨシ】
ステータス
LV82
HP B
MP A
物攻 A
魔攻 SS
物防 E
魔防 D
運 A
称号
異世界人 勇者
スキル :《剣術》《火精霊の加護》《中級火魔法》《最上級火魔法》《索敵》《察知》《蜃気楼》《鑑定》《勇者成長率》
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