第49話 目的地までの道のり
近くの町にたどり着いた後、宿に移動して、併設している食事処にやって来ていた。
少し良い宿を選んだ事もあり、食事処は個室だったのでちょうどよかった。
個室でなければ、部屋に戻れば良いだけなのだが、ケイトも部屋よりこちらの方が気を使わないため、ここで話す事にする。
食事もあらかた食べ終えて、本題のこれからの行動方針について話し合う準備をする。
食べ終えた食器をテーブルの端に寄せて、地図を広げた。
「ミステルト、これは地図って言ってな、地形を図面に縮尺して書いた物だ。 勿論、お前が空を飛んで見るのよりは精度は悪いだろうけどな。 それで、ここがこの町、ここがこの前まで居た樹海、それからこれが話題に上った山だな。 上空から見た感じだがなんとなく分かるか?」
ケイトはミステルトに地図の説明をしていた。
ツムギは難しそうな顔で地図を見ている事を見ると、ツムギは地図を見るのはにがてそうである。
「ふむ、何となく分かるのじゃ。 しかしこれを見てどうするのじゃ?」
ミステルトは地図を何となく理解した用事だが、首を傾げた。
「ミステルト、人の進むスピードが遅いのは分かっただろう?」
「そうじゃな」
「勿論ミステルトに乗せて飛んで貰えば早いだろうが、それはやらない。 なぜならドラゴンが空を飛んでいればそれだけで大問題に発展するからだ。 お前が俺に会うために飛んできただけでその国は大騒ぎしているだろう。 ツムギを連れて来た事を見るとアースランドあたりだろうけどな」
不意にケイトに名前を呼ばれた茶髪の少女が睨めっこしていた地図から顔を上げた。
茶髪なので、こちらに来る前から茶髪だったのかもと言う事は置いておいて、茶色の髪は土精霊の加護の証である。
勇者召喚についてアクアリア国王のケミルトに聞いた話で気づいて、リオ達でほぼ確信を得たが、五大大国は勇者が作った国だからかして各国に勇者の特徴が名前に入れられている。
アクアリア、エ
なので、ミステルトがツムギを拾って来たのはアースランドだと予測できる。
アクアリアも、ケイトがドラゴンを倒してなければ相当な騒ぎになっていただろうし、倒したと分かっていても、目撃者の騎士達には箝口令が敷かれている。
それは一般的に、勇者ほどの強さでなければドラゴンを倒せないとされる世の中で、ドラゴンが倒されたと言う情報は戯言と扱われて、国を混乱させるだけだからである。
だから、むやみやたらにミステルトはドラゴンにならない方がいい。
だから人の移動手段を使うのだが、目的地案内人のミステルトが人の移動手段を理解しておらず、直線で向かおうとしていたのでこの話し合いをする訳だ。
「人はな、飛べないから、歩く以外にも便利な移動する方法があるんだ。 そして、《急がば回れ》と言う言葉もある。 直線距離を行くよりも、迂回した方が早い場合もあると言う事だ」
「う、うむ?」
「そう難しい顔をするな。 大丈夫、お前の話を聞いて俺が考えてやるから」
難しい顔で首を傾げるミステルトに苦笑いで提案した。
「分かったのじゃ! どうすれば良いのじゃ?」
「それじゃ、大体でいいからこの辺りに向かうって場所はわかるか?」
ケイトはミステルトに祭壇の場所を地図上で聞き出した。
目的地さえ分かってしまえば、後はそこまでの馬車のルートを探すだけでいいからだ。
地図の見方を理解したミステルトの示した場所は意外と遠かったが、それを聞いて、ケイトは今後のルートを考えるのだった。
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