第28話他国の勇者召喚2
岩の要塞に囲まれた
この国にも、勇者召喚によって異世界より5人の少年少女が召喚された。
召喚されたのは、少年2人と少女3人。
少年達は召喚された事など気にしていない様に、掴み合いの喧嘩の最中である。
その周りで、1人の少女が喧嘩を止めようとしてオロオロと左右へ顔を動かしており、もう1人の少女は面白がって喧嘩を囃し立てている。
最後に残った少女は、少し離れた場所で、何故か一緒に召喚された貧相な学習椅子に座って足を組みながら、我関せずとスマホを弄っている。
電波が無くなったことにより、ページの更新が出来ずにスマホを振ったり揺すったりして、良くならない為にため息を吐いた。
そんな自由奔放な少年少女達にアースランドの国王は少年少女が気づく様に大きな咳払いをしながら話しかけた。
「ウォッホン! さて少年達よ、そろそろ気づいてはくれぬか?」
突然話しかけられた事に、少年達は喧嘩を止め、2人の少女は国王の方を振り向いた。
そして、最後の1人は我関せず、電波が無くても使えるゲームアプリを起動して遊んでいる。
「なんなんだ、こりゃ?」
「いつの間に、こんなコスプレ集団さんが…」
喧嘩していた1人と、オロオロとしていた少女が言葉を発した。
もう1人の少年と、煽っていたギャルは状況にポカンとしてしまい、言葉を発せなかった。
「少年達よ、 突然呼び出してしまい驚いて居るだろうとは思うが、聞いてほしい。
この世界に危機が訪れ、それを救うには異世界より勇者を召喚するしかなかったのだ。
勝手だとは思うが、協力してもらいたい。 無論、この国ブラスアースは最大限のサポートはしよう」
「ちょっと待ってください。なんで僕達が危機を救う方向で話が進んでいるんでしょうか?」
先程までポカンとしていた真面目そうな少年が国王の話を遮って質問した。
「誠に申し訳ないが、呼び出した時点で君達が元の世界へ帰る方法はないのだ。
この世界で生きる以上、力は必要であろう?」
アースランドの国王は、勇者の血を引いていない。
だから世界の危機は受け止めているのだが、勇者達を敬う気持ちは持っていない。
かつて、この国を傾けたのは、勇者の血を引く者だったのどから。
それ故に召喚された少年少女をいたわる発言は少なく、こう言った脅しにも取れる言葉も使った。
「帰れないだと! おい、バイトはどうすりゃ良いんだよ?」
「今はそれどころじゃないだろ?
あの、所でその危機を乗り切れば帰れたりはしないんですか?」
「それは解らん! 過去に召喚された勇者達は方法を見つけられずにこの世界に骨を埋めたと聞くが、まだ未開の地や未踏のダンジョンがあるから方法が無いとは言いきれんな。勝手に調べることは止めん」
「なるほど。では、その方法を探す為に貴方達のサポートを受けましょう」
「ふむ、まあ力を付けてこの世界の危機を退けてくれればなんでも良い。
そのサポートはしよう。 そのついでに帰還の方法でもなんでも調べるが良い」
「勝手に話をすすめんなよ。バイトは?頑張らないと来月の金がヤバいんだよ」
「でもリョウちゃん、帰れないならそうするしか無さそうだよ?」
ヤンチャそうな少年の言葉を少女がオドオドしながら説得している。
「チッ、だがな、コイツとは一緒に行かねえ! そりが合わねえ」
「それは僕も同意見だな。所で、ユカリちゃんは僕の方に着いてくるよね?」
「おい、 ユカリが何でお前について行くんだよ?」
少年達は睨み合って火花を散らした。
実はこの2人が先ほど喧嘩をしていたのは、周りで煽り囃し立てていたギャルのユカリが二股をかけていた事から始まっていた。
2人はユカリを取り合っているのである。
「えー?ユカリは安全なとこがいいな。2人でー、私を守ってよ?」
この様に、八方美人な態度で2人を手玉に取っている。
オロオロと気弱な少女を含め、この4人は幼馴染なのだが、話は拗れに拗れている。
「アホくさ、私はパス」
我関せずで、離れた所にいた居た少女が、ゲームを辞めて部屋を出て行こうとする。
アースランドの騎士が退出を止めようとするが、その騎士の力を利用して、合気道の様に投げ飛ばし、少女はそのまま部屋、そして城を出て行ってしまった。
その力に、国王と貴族達、それに騎士達も驚いた。
投げ飛ばされた騎士は下っ端では無く、近衛騎士の1人だった為に、手も足も出ずに投げ飛ばされ、少女を逃した事実に戸惑った。
しかし大事にしなかったのは、残った少年少女達に不信感を抱かせない様に配慮した為だった。
少女1人であの強さならと、4人の力を期待して多い方を優先したのだった。
最終的に、ユカリの意見が優先されて、いがみ合いながらもユカリを巡っていい所を見せようと4人は共に旅をする事になった。
そして、アースランドのサポートを受けて、少年少女の旅が始まる。
しかし、アースランドの人達はまだしらなかった。
先程出て行った少女だけが
勇者の血が途中で途絶えている為に情報が抜けている部分が原因でもあった。
加護を受けた巻き込まれた4人も、能力の伸びが良く、初期能力等も高い為、勇者と言う特別なステータスの存在を知らないアースランドはこの4人を勇者として扱った。
出て行った少女の事は、過ぎ去った事と頭の隅に忘れてしまうのだった。
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フレミュリアに召喚された勇者は主人公気質の少年1人だった。
その言動は妙に芝居がかっており、自分の考えは正しいと思い込む性格をしていた。
しかし、その発言は妙にカリスマ性があり周囲の人を引きつける。
フレミュリアの貴族も例に漏れず、少年の独自解釈によってこの世界を助けると意気込む少年を歓迎した。
少年は説明された話を自分の中で
フレミュリアの勇者は意気揚々と僕の考えた最強の装備を装備して、世界を救う為に旅立つのだった。
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