第27話他国の勇者召喚1
先代
この国にも勇者召喚で黄色い光が舞い降り、その光の中から1人の少年が異世界より召喚された。
勇者召喚で呼び出された少年は、周りを見渡すと、舌打ちしてとりあえず目の前にいる1番偉そうな男を睨みつけた。
その行為に部屋に居た貴族達は殺気つが、睨みつけられた本人は楽しそうに話しだした。
「ホッホッホ。 威勢が良いのは良い事じゃ、お前ら、やめい!
話がややこしくなりそうじゃ」
少年に睨まれているのはこの国の国王である。
国王は周りの貴族達を黙らせるとスッと立ち上がり、玉座の階段を降りて少年の前まで歩いていく。
国王の身長は少年よりも低く、肩までしか無い。
なので少年を見上げる形になってしまうが、その鋭い眼光で少年を睨み返した。
正に一触即発。
周りの空気がピリつくなかで、国王はその表情を真逆に変えて、ニッコリと微笑んだ。
その60歳程に見える表情を緩ませ、うんうんと頷いた。
「良い目をしておる。
少年、ワシはお主を歓迎しよう。
それと共に、謝罪を受け取ってほしい」
「謝罪だぁ?」
「そうじゃ。お主は勇者としてこの国に呼び出された。 だからお主を歓迎する。
しかし謝罪をしなければならん。
お主はもう元の世界に帰る事はできん。そして願いじゃ。無責任で身勝手な話じゃがこの世界を救ってほしい」
そう言って腰を折って頭を下げた国王に周囲は驚きの声をあげる。
国王たるもの、頭を下げる事などあってはならない。
しかしこの場合は国王の誠意の表れと察して、邪魔する貴族はいなかった。
「爺さん困ってんのかよ?」
「ホッホ、まぁの。魔王が現れて世界は破滅に向かうと言われている」
「チッ。 まあ悪いと分かってながらも俺を呼んだんだろ?
しゃーなしだ。やってやる」
「良いのか? 怒っても仕方のない状況じゃ」
「んだよ、そこは喜べよ。謝罪より感謝しろ!
別に帰れないとかは俺にはどうでもいい事だ。
魔王だ? そっちの方が面白そうじゃないか、喧嘩のしがいがある!」
少年は先程までの不機嫌そうな顔をニカリと和らげると国王へ宣言した。
「清々しいヤツじゃ。では我々もサポートしようではないか。 宝物庫から強い武具を持っていくのじゃ。 それと心強い仲間を___」
「おいおいおい、そんなんじゃ楽しくねーじゃねえか?」
「何?」
「そんな養殖じゃダメだろ?
与えられた物なんかじゃなく、己の力でのし上がんだよ」
「ホッホッホ。 天晴れじゃ! ではステータスの確認方法だけ教えるとしよう」
そうして、ステータスの確認方法だけ教えてもらってエボルティアの勇者は旅に出る。
【ユイト】
ステータス
LV1
HP B
MP E
物攻 A
魔攻 B
物防 S
魔防 B
運 B
称号
異世界人 勇者
スキル :《喧嘩》《雷精霊の加護》《神経雷達》《勇者成長率》
出発の前、エボルティア国王は他の国の勇者がいる事、その勇者達とは敵対しない事をユイトに伝えて約束した。
雷の勇者の旅の幕があがる。
___________________________________________
風の
呼び出されたのは少女が2人。
少女達は周りを見渡し、自分達の状況を理解すると、開口一番こう叫んだ。
「キイちゃん! これアレだよ! 異世界転移ってやつだよ! 冒険の始まりだよ!」
「そうだよ! カリンちゃん! 私達選ばれた勇者になったんだよ!」
この2人の予想は当たっており、説明も無しに当てた事に部屋へ集まった
「少女達よ、話が早くて助かります。貴方達に先ずは謝罪を。
勝手に呼び出して申し訳ないのだけど、帰る手立てがないのよ。
この国の国王として謝罪するわ本当に、ゴメンなさい」
椅子にしなだれかかりながら、軽く頭を下げるウィンダム国王。
この国の国王は女王。見た目20代に見える美しき女王である。
それを見て、キイとカリンは女王の言葉など気にしていないかと言うようにはしゃぎだした。
「キイちゃん、王女様だよ、王女様!」
「違うよカリンちゃん、女王様だよ!」
「「本物だよ!」」
周りの反応など気にせず、テンションの高い少女達に周りは置き去りにされ、女王も言葉を無くしてしまっている。
「お二人とも、落ち着いて貰えますか?」
「「あ、はい!」」
部屋に響いた声に少女達はピシ!っと背筋を伸ばして声の主に体を向けた。
「マグノリア様、私が話させていただいても?」
言葉を発した男性、
「それでは僭越ながら。 話を聞く感じ、キイ様とカリン様でよろしいですか?」
少女達は男性の声にコクコクと首を振って頷く。
「お二人はこの国に召喚された勇者様でございます。
最終的には世界を守る為に冒険して頂きたい。
しかし、今のままでは冒険は危うく危険の方が大きい。
なので我が国の学園にて学んで頂き、実力を付けてから冒険へと出ていただく。 どうだろうか?」
「キイちゃん」
「カリンちゃん」
「「本物だよ〜!」」
そう言って少女達は我先にとハイ!ハイ! と挙手してイグニスに質問をする。
イグニスが頷くと2人はお互いを見て二人同時に質問する。
「「お友達が出来たら一緒に冒険していいですか?」」
その質問にイグニスは真面目な顔を笑顔に変える。
「勿論です。
学園は自立を促す場所。 そこで出来た友人、仲間が共に冒険者となり旅立つのもまた一興。
但し、ウィンダム王国所属の冒険者と言う条件もありますが、それは問題にはならないでしょう」
こうして、ウィンダムの勇者はウィンダムが誇る学園にて学ぶ事になるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます