1日目 降り立つ新天地!?謎の棒は、貴方の心を見透かします!たぶん!
『貴方の番! 心にBang! おっきなハートを刻むぞ! Hoo!』
「魔物っ子カフェはいかがですかー」
「Wow ! It's a Japanese HENTAI !!」
「ポケ○の新弾、まだクロバにあるってよ!」
「……え?」
何か、不思議な形のおっきな建物がいっぱいあります。人間の絵もたくさん外に飾ってありますし。
不思議な音楽、変な服を着たたくさんの人々、どこかからピューピューと変わった鳥の鳴き声も聞こえます……。
ここはどこですか?
「コンカフェです。いかがですか〜」
あそこにいるのは、どこかの屋敷で働くメイドさんでしょうか?
何か紙を人々に渡していますね。ここがどこだか聞いてみましょう!
「すみません! ここはどこでしょうか?」
「え? えっと、秋葉原です……よ?」
「あきはばら? すみません、わたしはあまりグランデ地方以外は疎くて……。お隣のマーリヤル地方の方とかですか?」
「ま……、まーりやる? えっと、君は……どこから来たのかな? 日本語上手だね……。何のコスプレだろう……」
メイドの方は何やら困った顔をしています。それに、先程から言っていることが理解できません。
これは、わたしも困りますね。
「違う人に聞きますね! あ、それと。グランデ地方のリンガル村の外れにとても素敵なお店があるので、是非訪れて下さい」
「あ、うん……。あの、私同業者だから、違う人に言ったほうがいいよ……」
「はい?」
「あー……、お互いに頑張ろうね!」
そうしてそのメイドの方と手を振って別れましたが、わたしは相変わらずここがどこだか分かりません。
他にも何人かに尋ねたのですが、何か会話が噛み合わないと言いますか……。
「あのー、すみません」
誰かに声を掛けられ振り向きますと、女の子がおずおずとわたしを見つめます。
「写真いいですか?」
「……しゃしん?」
「えっと……これで」
とその女の子は小さな四角い箱? をわたしに見せます。
「ごめんなさい。私、ちゃんとしたカメラを買うようなお金はないので、スマホになるんですけど……大丈夫ですか?」
「……かめら? すまほ?」
もうさっきから知らない言葉が次々に出てきて、頭から煙が出てきそうです。
しかもその度に、何やら不審な顔もされるので、心にも痛みがきます……。
「ダメ……ですか?」
「いいえ! 全然大丈夫ですよ! よく分かりませんが、すまほして下さい!」
取り敢えず、分かった振りをしておきましょう。
これ以上、憐れな姿を晒すわけにはいけません。わたしが田舎者だと気づかれてしまいます。
「ふふふ。それでは、撮りますね。ポーズお願いします」
「はい!」
……ぽーず?
その女の子は謎の箱をわたしに向けます。
ん? あの箱、目が付いてますよ!
ぴこん、とあの箱から謎の音も!?
「ありがとうございます!」
その女の子は顔を輝かせてこちらに来ます。あの、おかしな箱を手に持ちながら!
「……どうしました?」
わたしが思わず後退ると、女の子は不思議な顔をわたしに向けます。
また、その顔です!
もう、それはうんざりですよ!
「だ、だだいじょうぶだよ」
わたしは精一杯に小さな胸を張って見せます。
お父さん、お母さん、見てますか。
わたしは負けてませんよ。
「ところで……。こちらから声を掛けておいて失礼なんですけど、それは何のキャラクターですか?」
き、きゃら……くたー。ふむ。うーー、
いや負けるな、わたし!
女の子はわたしを見て何かを尋ねています。
そう! 答えはわたしにあるのです。
わたしはわたしを見ます。
お母さんから貰った淡いクリーム色のポンチョ。中の白いよれよれの肌着は見えてませんよね。
足は出すのが嫌なので黒いパンツ。ゴミひろ……採取ように大きな布袋を三つ、
ん? 中のことを聞いているのでしょうか? でも、昨日はずっとお店に引きこもっていましたし……。
「………………あっ!」
「……あの?」
わたしは袋の底からあるものを取り出します。
それは昨日食べた謎の実の上の方にある、なんかぴょんとしている棒の部分。
これを持っていると……、えーと、何か困ったことがあると知らないおじさんが助けに来てくれるアイテムです。
運が良いと、夢の中で真っ黒い人型の何かと遊べたりも出来るのです。
うん!
「これはね、持っていると知らないおじさ……、貴方にとても良いことが起きるものです。特別にあげます」
流石に女の子に知らないおじさんが来るとかは危ないですね。
よくない事実は伏せましょう。商売とは、こういう駆け引きが大事なんです。
「あ、ありがとう……。何か私、色々と素敵なものを頂いてばかりなので、良かったらご一緒にご飯でもどうですか? 私が
ご飯ですか!
「いいですね! ちょうど、お腹も空きました」
「ふふ。さっきから、ずっとお腹が鳴ってますしね」
うっ。それは恥ずかしい限りです。
わたしはその女の子について行き、たくさんある大きな建物の一つに入ります。
赤色の四角の中に、黄色い足の先が二つ並んでいます。どこの魔物の足跡でしょうか?
ここに住む方はとても勇ましい方のようです。
失礼のないように、その方の名前だけでも控えておきましょう。読めない字なので、遠い所の方でしょうか。
えっと、『∧∧c|)0∩∂1d'∫さん』と。
「すみません、私学生なので、マックですけど……。食べれないものとかはありますか?」
まっく。初めて聞く食べ物です。
わたしは食べることがとても大好きなので、何でも大丈夫です。
そこら辺の草とか、よく食べていますし、何でも食べれます。
「いえ! まっく、とても楽しみです!」
わたしがそう素直な気持ちを伝えますと、女の子は楽しそうに笑ってくれました。
「じゃあ、私のおすすめを選ばせてもらいますね!」
そうして女の子はお店の方に注文をしてくれます。
まっく。
きっと表に貼り付けてあるあの黄色い足型の魔物を使った料理でしょう。
世には、魔物なんて食えるかと、忌み嫌う方もいると聞きますが、わたしは美味しければ何でも良しです!
女の子が何か緑色の板をわたしに手渡します。
これが、まっく!
赤色の紙に包まれた何かと、薄い茶色の棒がたくさんある何か。いえ、これは表にあった黄色い魔物のどこかでしょう。
わたしは尻尾を細切れにしたものと推測します!
そして白い筒。赤色や青色の模様が付いてます。それに所々に、表にあった黄色い魔物の足型が描かれてますよ。
そんなにも自分の功績を見せびらかしたいのでしょうか。
「上行こうか」
わたしは女の子について行き、階段を登ります。
ここは中々大きな食事処です。
こんなにもたくさんの方が訪れているのですから、もしかしたら凶悪な魔物だったのかもしれません。
とんだ
「それじゃあ、いただきます」
女の子は謎の掛け声を言い、何やら棒を白い筒の透明な蓋にぶっ刺しましたよ。
……おー、なるほどです。食べ方が分からなけば人を見ればいいのです。
「どうしたの? 遠慮せずに食べていいよ」
「もちろん、食べます!」
わたしは恐る恐る白い袋の棒を手に取ります。
恐るな、わたし!
こういう時は勢いだ!
わたしは勢い良く、その白い棒を突き刺しにかかります。
「おりゃっ! うわぁっ!!」
ぼ、棒が! 白い棒から黄色い線模様の棒が飛び出してきましたよ!
「あはははは! 本当に面白いね。でも、疲れたらもう、なりきらなくても大丈夫だよ。あと、私帰ったらそのキャラクターのこと、いっぱい調べてくるね!」
少女は何やら話していますが、今のわたしは心臓が今にも飛び出そうで……、それどころではありません。
一瞬、黄色い魔物が最期を振り絞って攻撃してきたかと……。
「わ、わたし、といれに……」
「うん。えっと、あっちにあるよ」
「あ、ありがとうございます」
わたしは急いで席を立ち、そちらに向かって歩きます。
もう、心臓が持ちません。
少し呼吸をゆっくりと整える時間を……。
「ん? なんですか?」
急に目の前に文字が現れます。残り十秒と少しずつ数字を刻んでいきます。
そう言えば、視界の端っこにずっと何かの数字があったような……。
そう考えていると、突然目の前が真っ白になります。
「え?」
そして、目が覚める? と、わたしはベットの上で横になっていました。
右手には、あの凶悪な魔物だったと思われるものの丸く長いどこか。
これは、一体……?
***
ここは、グランデ地方のリンデル村の外れにある小さな店。
外見はどこにでもある普通の家のようで、村の方に聞かない限りは、ここで商売を営んでいるとは気付かないだろう。
少し、扉を開くことに緊張が走る。
もし間違いだとしたら、私はとんだ犯罪者になってしまうだろう。
なぜこのお店は看板などを掲げていないのだろう。村の方に聞いても、この店の詳細は何も知り得なかった。
だが、こういうものにこそ、興味がそそられるというものだ。
意を決して扉を開くと、カランコロンという軽い音が鳴り響く。
すると直ぐに、何か物を落とす騒がしい音と共に、ここの店主だろう、可愛い少女がカウンターから顔を出した。
深い青色の髪の長髪に、何か庇護欲みたいなものを
薄い唇は何やら何度も開閉させて、私を驚きの表情で見つめる。
「い、いらっしゃいまへ!」
ふふ、なんて可愛らしい掛け声だ。
照れ臭そうに頬を赤らめて、カウンターに突っ伏してしまった。
がんがん、と何度も頭を打ち付けるのはやめてくれ……。
「ここは何のお店なのかい?」
私がそう彼女に問い掛けると、少女は大きな目を見開いて輝かせる。
可愛いらしい少女は、カウンターをまるで獲物を狙う魔物の如く、とても野生的に飛び越えてこちらに来てくださる。
……うん、とても変わ……いらしい少女だ。
「ここはですね! わたしが拾っ……、集めてきた宝物を売っているお店なんです!」
そう誇らしげに手を広げる彼女はとても年相応に見える。
まだ十二歳かそこらぐらいだろう。こんな歳で働いている子は稀にいるが、私ももっと日々を頑張らねば、と勇気が貰えるものだ。
「これは……、何かな?」
四角い紙に赤い花の粉末が雑……、とても味わい深く彩られ、黄色い花びらで大きな二つの突起が表されている。
何かを表しているのか……。それとも、彼女の豊かな感性によってもたらされた絵なのだろうか。
「それはですね! とある有名な冒険者が勝ち取った偉大なる功績を表したものです。この黄色の模様は、凶悪な魔物の足型を表しています」
「凶悪な魔物……?」
「はい、そうです! それは"まっく"と呼ばれる魔物でして、遠い地では黄色い悪魔と畏怖される存在です。ですが! その魔物の尻尾などはとても美味とされていて、一度店に出せば大繁盛! そして、これをご覧ください」
少女は声高らかに力説し、私に何か黄色い模様の棒を手渡す。
それはとてもつるつるとした感触で、中は空洞になっている。
「それが何か、……分かりますか? お客様?」
私は少し考える。話の流れから、そのまっくという魔物の何かだろうか。
彼女のあの自信に満ちた表情から間違いないだろう。
私がその考えたことを伝えると、彼女は目を細めて首を横に振る。
「お客様、その棒を通して、あの絵を見てください!」
私は彼女の言うことに従い、黄色い模様の入った棒の空洞を通して、先程の絵を見てみる。
「何が見えますか?」
「えっと……、赤いです」
「……いえ。もっと見て下さい、お客様!」
「…………黄色いですね」
「……そうです!」
「そうです?」
私は思わず隣の彼女に振り返ると、少女はしたり顔で私を見返す。
「分かりませんでした?」
「え? …………はい」
「あのまっくは、貴方にこう言っているのです! 広くを見ず、狭くを見ろ! と」
「…………な、なるほど?」
「身に覚えがあるのではないですか? お客様」
確かに、私は仕事に没頭するばかりで、あまりこうやって子供と遊んであげていただろうか……。
仕事のストレスを、こうやって風変わりな店巡りばかりに使って、私は一体何をやっていたのだろう。
こんな店ばかり巡っても、実際に得た物は何もなかった。
「……そうですね。私はこんな店ばかり巡って、家族に何もしてあげれてなかったよ」
「…………こんな店?」
「ありがとう、可愛いらしい店主さん」
私はその小さな店主さんの手を握り、礼を伝える。
店主さんもにっこりと私に笑みを返す。
「500マニーです。お客様♪」
「それは……、高過ぎませんか?」
「間違えました! 300マニーです」
「…………店主さん?」
流石にこのゴ……、おほん。これが300マニーは高過ぎる。良くても50マニーでも……高いくらいだ。
「お客様。貴方のその気付きはその程度の金額でしょうか? 家族の笑顔を思い出してください。きっと、このまっく様もお守りしてくれますよ!」
「……そう、ですね…………」
私は彼女のあまりの圧に押されて、渋々了承してしまった。
彼女の目には、とても切羽詰まった何かを感じて、私が首を縦に振るまでは意地でもこの手を離さないという強い意志を感じられた。
「ありがとうございます!!」
その小さな店主は、満面の笑みを携えて、私に手を振って見送ってくれるのだった。
私は手に持つちんけな絵と使い道のない謎の棒片手に、心に決めたのだった。
もう、こんな趣味はやめようと。
☆☆ 今日の補足 ☆☆
・といれ、は異世界にもあります。
・紙やそれに書く手段もあります。
・秒や数字はここでも共通なようです。
・まっく?の謎の棒は紙ではないようです。
・ネルネは、日本語だけは分かるようです。
全部、作者の都合です♪
○主人公1○
ネルネ・ルミナール 1?歳
好き
・食べること! ←New!
お店(グランデ地方 リンガル村外れ)
今日の売り上げ:300マニー
一言どうぞ!
勢いで行けました!
そして、家賃も完了!(今月分だけ)
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