第50話 転移魔法の活用
一通り話した後、ウミラを残してクロカラと一緒に地下施設を出た。
「本当にクロカラさんは自分で考えられるからくりなんですか?」
「はい、間違いないです。こうしてクリットさんと綺麗に話せているのもの自分で考えられるからこそです」
「じゃあ、ウミラに逆らおうとはしないんですか?」
「逆らう?」
おおっとぉ?
「普通「なんでこんなやつに使われなきゃいけないんだ!」だとか、「他にやりたいことがあるから1人でいたい」とか思うと思うんですよ」
「…あぁ〜。もしやクリットさん、私が主人に無理やり従わされていると思っていますか?」
「…」
「私は自分の考えの元、主人に従っているのです」
『…ここは?』
『もう喋るんだ』
『あなたは?』
『ウミラ。君の名前は…クロカラにしよう。ねぇ、クロカラ…』
「…少なくとも私が主人から離れるときは、その方が幸せになるときだけです」
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馬車でシュテイルから帰る道中
「(クロカラさんは本当にからくりなのかな?)」
さあ?俺らは確かめてないから分からん。確かめるのも一苦労しそうだから信じるしかないだろ。
「(ウミラに頼めば、僕らに確かめさせてくれるかも)」
クリットは腹を切り開けてまで確かめてぇのか?
「(…)」
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次の日
昨日よりも早く王都を出て、シュテイルにやってきた。もちろん目的は…
「う~ん。やっぱり動物がほとんどいないね」
そうだな。小鳥を少し見かけるぐらいだな。
「ウービーブライッシュがいるのが森の奥の奥って言ってたから、かなり奥までいかないといけないんだろうなぁって思ってたんだけど、案外すぐそこだね」
そう思うのはお前だけだ。俺から見たらちゃんと奥の奥だ。
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少し前
『シュテイルに着いた!よし!早速森に入ろう!』
おい待て。森のどのあたりにいるか聞かなくていいのか?シュテイルよりも広い森で1匹を探すのか?
『(そうだね。流石に時間がかかるから…)』
『ユナルガさん、ウービーブライッシュは森のどのあたりにいますか?』
昨日行った酒場に行き、店主にユナルガさんの居場所を聞いて会いに行った。
『……あ~。森の奥の奥じゃ分からないよな。じゃあちょっと行こうか。ついてこい』
とシュテイルを出て森の見えるところにユナルガさんと一緒に来た。
『大体あっちのほうだな。ただ俺の情報が古いかもしれないから森のすべてを探すのをおすすめするよ』
『住み着いているなら同じ場所にいますよね?』
『まぁ、うん。大体俺の指さした方向にいるだろう。ただ万が一があるからな。俺も一緒に探そうか?』
『…大丈夫です。自分1人で十分探せると思うので』
『そうか、気をつけていけよ』
『はい!』
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ということがあり、クリットはユナルガさんから聞いた場所に持ち前の身体能力を使い、最速で向かっていた。
「…ここら辺かな?」
…いないな。
「ちょっと上に見に行こうか」
と付近にある1番背の高い木にクリットは登った。
「流石に見にくいか。枝が邪魔」
しばらく枝をよけながら周りを見ていると
「あれかな?今まで見て来た鳥より大きいのがいる」
…いるか?同じものを見ているはずなんだけど。
「…目印があれば飛べるよね?」
あぁ、転移魔法でな。
「剣を1本作って」
わかった。
そうして剣を作ってクリットに交代すると
「よいっしょっと!」
結構軽いかけ声と共にクリットはおそらく鳥がいる方向に剣を投げた。
そっちね。
「分かった?」
その質問にクリットと交代し、転移魔法を使って木より高い空中に移動することで答えた。
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ガッガッ、グワァ!
「おお、当たってる」
剣を投げた方向に転移魔法を使い移動すると、体に剣が突き刺さっているこの森で見たなかで1番大きな鳥がそこにいた。
「(よかった~。当たってて)これがウービーブライッシュ?」
「(たぶんそうじゃない?見たことないもん)」
とりあえず持って帰ろう。頼んだ。
「分かった。袋に詰めたら交代すればいいよね?」
そう。ここら辺に後で飛ぶから覚えておいてよ。
俺はその大きな鳥の入った袋を持って転移魔法を使った。
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「確かにウービーブライッシュだな。よく2日で狩れたな」
「運が良かっただけです」
「依頼をこなしたことは確認した。…これを持っていけば受付で報酬が貰える」
「ありがとうございます!」
「(びっくりしてたね)」
あぁ、あらかじめ言っておいたんだけどな…
ウービーブライッシュを狩った後、転移魔法でコーエンの店に移動した。もちろんシュテイルに行く前によって魔法でここに移動することを言った…のだが。
『うお、びっくりしたぁ。なんでクリットがここにいるんだ?』
とドッキリを仕掛けられたような反応をした。
流石にここの人が今までない転移魔法を受け入れるのはもう少し先になりそうだ。
再びコーエンの店から転移魔法を使い、シュテイルの近くの森に移動した。
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