第47話 探査と地下施設
「じゃあ、探そうか」
ああ。
「「ヤツ」を」
「(この街にいるのに、どの家を調べても見つからなかった。ということは地面か空かな?)」
あとはクリスタルみたいに透き通っているだけでその場にあるということもある。
「(それはないんじゃない?その場にあるなら誰かは触って見つけそう)」
そうだな。じゃあ、地面の中か。
「(見つける方法…ある?)」
魔法を作ればいいだろ。変われ。
「(はい)」
いわゆるレーダーを魔法で再現できるようにすればいい。地面の中の目的のものを探すレーダーは電磁波を飛ばしてその反射波から反射したところまでの距離を出すことで地面の様子が分かるっていうものだ。
ここで馬鹿正直に電磁波を一定の方向に出す魔法を作るものいいが、[創造]があるのだから電磁波より良いものを作ればいい。電磁波と性質が似ていて、物の境界で必ず反射波を出し、どこまでも届き、他に影響を与えない、そんな波を魔法で。
名付けて探査魔法だな。
「(出来た?)」
あぁ、早速範囲を設定して使うか。
範囲を今の場所を中心としてシュテイルを完全覆うように設定した。もちろん余計な細かいものに反射しないようにもした。
探査魔法を使い、しばらくすると俺の目の前に三次元ホログラムのようなものが出てきた。
「(これがシュテイルの地面の中?)」
そうだ。この白いところに何かがあるが、普通にある大きな鉱石の固まりなんかも映るから明らかに不自然なものを手当たり次第探すことになる。
「(う〜ん、これじゃ分からないなぁ)」
そうだな。だから場所変えてまた探査魔法を使う必要があるな。...これに次の魔法の結果も加えるから覚えなくていいぞ。
「(便利だね)」
今は路地裏にいてシュテイルの中心からは程遠いから次は反対側かな?
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移動し、探査魔法を数回使った結果
「(ここだね)」
詳しく言うのであればここの地面の下だな。
ある一軒の家の下に角ばった空間があるのが分かった。
クリット頼むぞ。
「(分かってる。最悪逃げればいいよね?)」
あぁ。
もしものためにクリットに交代して調べることになった。
コンコン
「はい」
ガチャ
クリットがノックをすると女性の声が聞こえ、黒髪の短髪の女性が扉を中から開けた。
「何でしょうか?」
「ちょっと聞きたいことがありまして…。入れてくれませんか?」
「…大丈夫です。どうぞ」
ガチャン
扉は女性によって閉められたが、クリットは念のために扉を背に質問する。
「この家の下にあるのは何ですか?」
「…?土…ですけど?」
「その土の中にある物を言っているんですけど…」
すると…
ガッ ドガッ!
クリットは目の前の女性の背負い投げを受け、組み伏せられ、どこから取り出したか分からないナイフを首に突きつけられていた。
「どこからその情報を得ましたか?言いなさい」
「自分で見つけたんですよ。誰からもこの家の下の情報を貰っていません。むしろ誰も知りませんでしたよ?」
「そんなこといくらでも言えます」
「本当です!」
「……分かりました。案内いたします」
と女性はクリットの拘束を解き、突然案内をし始めた。
「…いいんですか?」
「はい。大丈夫です」
女性に案内されたのはクリットの家にもある普通の台所だった。
そこで女性が台所の床と引き出しに手をつくと女性の目の前の床が消え、階段が現れた。
「私から離れずに着いてきてください」
「…はい(行っていいよね?)」
いいんじゃないか?
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「これは?」
なんでこれがあるんだ!?
「これに乗ることであなたが知りたがっていた場所に行くことが出来ます」
クリットが女性に連れられて階段を下った先には掴むところのない無機質な白い引き戸のような物があり、女性が壁にあるボタンを押すことで引き戸がスライドし、中に入れるようになった。中の壁にもボタンがいくつかついていた。
なんでここにエレベーターがあるんだ?
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エレベーターに乗り、しばらくすると下に着いたのか扉が開いた。
「どうぞ」
「あ、はい」
エレベーターを降りた先には一本道の廊下があり、床や壁、天井の素材はコンクリートだった。
セメントはこの世にあり、モルタルが普通の家の接着剤として使われていたからコンクリートもいつか見るだろうとは思っていた。ただ、この廊下は明らかに精巧すぎる。明らかに経験がある人間が作ったな、これは。
そんなコンクリートで作られた廊下を進むと木製の扉があった。
ガチャ
「どうぞ、主人がお待ちです」
クリットを案内してきた女性が開けた扉の先にはテーブル、椅子などの木製のものや、奥にある台所にはいくつもの金属製品がある部屋があった。
「よく来ましたね。歓迎します」
椅子に座りながら、先ほど扉を開けてくれた女性より背が低く、髪の長い女性がクリットに話しかけてきた。
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