第42話 確認と誕生会
「で、私の荷物を移動することが決まったということは移動する場所も決まったということなのかな?」
「そうです。なので授業終わりに見に行きません?僕が授業が終わるまでは2人で話していていいですから。例えば移動させる荷物とかを見るとか…」
「そうですね。
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歴史学の後
俺たちはミクリルの案内でもらえる土地に来た。
森が隣接しているが、ほとんどは草木が生えるだけの土地だった。
「ここですか?」
「はい。ここで間違いないです。ちなみにあそこの森も好きにしてもらっても構いません。そこまで細かく土地が分けられている訳ではないので森に限らず、建物の建てる場所は気にしなくてもいいです」
「じゃあ、好き勝手に建物をたくさん建ててもいいってことですね!」
「…限りはありますので…」
「うん。私はここがいいなぁ」
とマリーが声を上げたので声がした方向を向くと
「この平べったい地面がいい」
「どこでも平べったく出来ますよ」
「それは本当か?」
「まぁ」
「(勢いで言っちゃったけど出来るよね?)」
平べったく…。地面に対して平行がいいってことか。
出来るぞ。
「床が平べったく出来るのであればどこでもいい。研究室では毎度物を敷いてこぼれない様にしたり、量を計っていたからねぇ。その作業がなくなるのであれば楽になる」
「[創造]なら今からでも部屋を作れますよね?作らないのですか?」
「作らない。今どころか商会の建物の少ししか[創造]で作らないつもりです」
「…君のスキルがどれだけ有能なのか知らないのか?」
「もちろん知っていますよ。でもそれを使って良い時と悪い時があります。もし建物すべてを[創造]で作ったとします。壊れた時、どうしますか?僕がいなくなった時、どうしますか?」
「元に戻せない。元に戻せたとしても元ほど完成されたものにはならないということでしょうか?」
「そうです。知識として知っているのと実際に手で触って、順を追って作ったのでは経験が違います。最悪、僕が居なくても作れ、直せるようになってほしいんです」
過程を細部まで理解していないと壊れても直せないからな。普通の人が電化製品の修理を業者に頼むのもその業者が直せるほど理解しているからだ。逆に理解さえしていれば自分で直せる。
「なのでほとんどは建築士に任せます。ただ床を平べったくするのであれば研究室は僕が作ります」
「なら研究室は今から作れるじゃないか」
「いきなり何もないところに家を建てるのはダメです。僕のスキルがバレてしまいますから」
「そうか、君は隠しているのだったな」
「はい。隠せば戦いなので有利になりますから。研究室は建築士が来るのと同時に作り始めます。ミクリルさん、建築士への依頼を頼んでもいいですか?」
「はい。大丈夫です。なんならクリットさんも今から一緒に依頼をしにいきませんか?」
「すみません。今日は早く帰ってくるように言われていますので…」
「用事かね?」
「…今日は僕の誕生日なので」
「それは早く帰らなくてはいけませんね」
「何で早く言わなかったんだね?祝う準備ぐらい出来たんだが…」
「誕生日は普通自分から言いませんから。知らなくて当然です」
「そうですね。では今日はこれで終わりにしましょう。
「そうだねぇ。私も用事を思い出したからこれから学園に帰らなければ…」
「ではこれで」
====
そうしてクリットは家に帰り、家族と普段よりも豪華な食事をして祝われた翌日
授業後 夕方
「やぁ、待っていたよ」
いつもの今時間は研究室にもいないマリーが教室の前の廊下で待っていた。
「あれ?いつもはいないのに今日はどうしたんですか?」
「今日は君に用事があってね。…授業はもうないかね?」
「ないですよ。今日は帰るだけだったので」
「じゃあいいか。これから出かけるぞ」
「どこへ?」
「ファブライト家にだ」
そうして馬車に乗り、ファブライト家に着いた。
「クリット様、マリー様。お待ちしておりました。準備は整っております」
準備?…あぁ、そういうことか?
「(何?)」
多分もうすぐ分かる。
メイドに連れられて俺たちは屋敷のある部屋にたどり着いた。
コンコン
「クリット様が来ました」
と言った後少し間隔を開けて
「ではお開けします。どうぞ」
俺たちが到着する前からいたメイドを含めて2人のメイドが両開きの扉を開いた。
開かれた扉の向こうには見覚えのある人たちがいて、テーブルには多くの豪華な食事が並んでいた。
「これは…」
「君の誕生日を祝うために集まったんだ。計画したのは私だ」
「別にそんなことしなくてもいいのに…」
「私はマリーさんから話を聞いた時、すぐに部屋と料理の計画を準備させました。私はクリットのことを友達だと思っていますわ。友達の誕生日は祝いたいですから。ちなみにお父様は来れないことを悔しがっていたわ」
とアキリーナが言う。
「俺たちは場違いか?年も違うし…」
「場違いじゃないですよ。むしろ私は図書室と授業で会う以外は何もないです」
「早くやりましょうよ!パァァって!」
「ミルドちゃん。クリット君がこっちに来るまで待ちましょう」
「は~い」
テーブルの横にはコーエンさん、サリナリ、ミルド、ミルキーさんがいた。
そうしてあたりを見回していると。
「おい、なんで誕生日のことを言わなかった…」
「ノルワール王!なんでここに。誕生日のことは普通、ましては王になんて言わないですよ」
「そうだな」
「あ、納得するんですか…」
「今日はお兄様の用事が偶然にもなかったので一緒に祝うために来ることが出来ました。ついでに、建築士にもお話をつけましたので空いている時にここに行ってください」
びっくりしたがノルワール王とミクリルさんがいて、ミクリルさんから場所が描いてある紙を貰った。
「はい。わかりました」
「クリット、さぁこっちに来い」
「はい。分かりました」
ノルワール王の近くに行くと肩を組むように捕まえられ。
「今日は無礼講だ!いろいろあるだろうが、祝いの席、このノルワール王がすべての無礼を許す!存分にクリットの誕生を祝え!」
次の日が休みの日ということもあって、部屋の中だけではあるがクリットの誕生日を盛大に祝った。
おめでとう
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