第41話 魔族の位置と王女の労働

時は戻って昨日 王宮 王の執務室


王宮の紋が入った手紙がクリットの元に届き、その手紙の内容の通り王宮に来ていた。


「護衛だが、手紙の内容の通りでいいか?」

「いいですよ。むしろ食べ物ももらえるのであればお得です」

「じゃあ、その内容で進める。で、土地の話だ」

「はい」

「クリットに与えられる土地が決まった。この地図で場所の確認をしてくれ」

地図を見ると王都の南西側の外に印がついていた。

「ここですか…」

何か問題か?強いて言うのであれば他の国から遠いところが痛いところだが。

「そうだ。大臣達が許可した訳も分かるだろう?」

の対処をしろとのことですか…」

魔族?

「あぁ、今動きは無いがこっちに来た時に一番にぶつかってくれっていうだけだ」

魔族って何だ?

「…魔族の説明をお願いします」

「お前は知らないのか。まぁいい。魔族は魔力をたくさん持っている、人より力が強い生き物だと思ってくれていい。今はここの森にいると思われている」

とノルワール王は王都から南西にある森の部分を指で指した。

「思われているって言ったのはこの森をここ数十年、いや数百年調べられていないからだ」

なるほどね。

「いいか?」

大丈夫だ。

「いいです。その森の調査はしなくていいんですか?」

「それはクリットに任せる。この話は終わりでいいか?」

「まぁ、はい」

「じゃあ、次の話。お前の探していた人の話だ」


====


お!

「見つかったのですか?」

「まぁ、…そうだな…」

「?何かあったんですか?」

「…[空間収納]のスキルを持っている女でいいんだな?」

「はい。そうですけど…」

…そういうことか!


『なので、にも相談してスキルの内容に関しては秘密にし、バレている、もしくはバレた場合にはすぐさま対応すると決めました』


「入れ」

ガチャ

その声と共に入ってきたのは俺たちがあの日見て出会った女性で、王宮で動き回っていても不思議に思わないような綺麗な服装をしていた。


「失礼致します」

「合っているな?」

「はい!この人です」

「では改めて自己紹介を致します。わたくしの名前はミクリル・ニリストス。この国、ニリストスの第二王女ということになっています」

「あれ?ファルじゃない?それに第二王女?」

「はい。ファル・アナラストはあの時に咄嗟とっさに考えた嘘の名前です。第二王女と言っても書類があるわけではなく勝手にわたくしが言っているだけです。…もしスキルが無ければわたくしは第二王女でしたよね。お兄様」

「そうだな。クリット、ミクリルは俺の妹だ。ただ知っている通り書類上は第二王女なんてものはいない、王女は1人しかいない。スキルのせいでな」

「そうなんですか。すると王女と呼ばれているノルワール王の姉にあたる人は第一王女ということになるのですか」

「そうだ。で、俺の妹が本当に欲しいのか?」


なんか…

「(?)欲しいですよ。スキルがいいので」

「…お前なぁ…」

わたくしは全然構いませんよ?スキルが目当てでも」

「まぁ、お前はそうであった方がいい」

「……ああ、婚約は無理ですよ。そこまでミクリルさんのことを知らないので」

婚約してからでも知れるだろ

「(でもそこは重要でしょ?)」

そうだけどよぉ。


「冗談だ。クリットの商会でミクリルを働かせたいんだろう?ミクリル」

「はい。その提案をお受け致します。ただしわたくしの護衛も一緒にと言うことになりますが、それでも大丈夫なのであれば働かせていただきます」

「(大丈夫だよね?)」

その護衛はあくまでもミクリルさんの護衛なのか?

「…その護衛は商会の一員なのですか?」

「はい。それも含めてわたくしの護衛をしていただけることは確認しています。なので働かせても問題はありません」

「なら大丈夫です」

「じゃあ、妹をよろしくな」

「あ、しばらく商会はないので王宮にいてもらうことになります」

「大丈夫です。…ということは商会の建物が出来ればわたくしの部屋も用意されるということでよろしいですか?」

「はい。それと早速明日から会ってもらいたい人がいるので学園に来てください」


====


「君が移動させるのかね?私の研究室の荷物を?」

「はい」

「全て?」

「はい」

「スキルだな」

「その質問にはお答えできません」

「…クリット、ずいぶんやっかいな人を連れてきたねぇ」

「そうですか?それとミクリルさんは僕の商会で働くことが決まっているので、これからも会うときはありますよ?」


「貴族、それもかなりの地位にいるだろう?それか王族か?」

「はい。王族ですよ?」

「……クリット」

「はい」

「なんてやつを連れてきたんだね?」

「まぁ、便利なスキルだったので…」

「はぁぁ…」

「さっきの質問にお答えできないっていうのは冗談です。マリーさんにもスキルの内容を教えておきます。ただしクリットさん以外にわたくしの許可無く話すことは許しません」

「分かった。それは守ろう」


===


ミクリルはマリーに[空間収納]について、ついでにミクリルがノルワール王の妹であることも話した。

「…凄いスキルだな。どのぐらい物が入るんだ?」

「う~ん。限界を試したことがないので分かりませんが、少なくともこの部屋は楽に入ります」

「私の研究室の中には危ないものがたくさんあるが大丈夫なのかな?」

「大丈夫です。[空間収納]の中に入った物は入った瞬間から変化しなくなるので取り出す瞬間に気をつければ大丈夫です」

[空間収納]の中に入ったものは時間停止するって言うイメージでいいんだろうか。


「……クリット」

「なんですか?」

「どこでこんないかにも商会に向いているスキルの持ち主と出会ったのかな?」

「王都の中心街で」

「初めて見たわたくしに勝手についてきていましたよね~」

「…変態だねぇ」

「…」

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