第37話 居場所と進捗
学園で授業のある日
俺はマリーに呼ばれ研究室に来ていた。
「なんの用ですか?」
「何か用がなければ呼んではいけないのかい?」
「いや、そうじゃないけど…」
「まぁ、用がないわけじゃない」
「…」
「そう面倒くさそうな顔をするな。私にとっては重要なんだ」
「重要なこと?」
「学園を卒業したら君は私に対して支援をすると言ったが、肝心の私はどこに行けばいいのかね?」
「(そうだったね)」
「…実家とか?」
「…考えてなかったな?」
「と言われても商会の話をしてからまだ20日も経っていないでしょ?」
「私の卒業は近いからねぇ、早くに決めなければいけないんだ」
「こっちで用意するのがいいか…(宿はお金がかかるし、好き勝手には出来ないからね)」
「まぁ、そうだな。商会の建物を建てる場所はまだ決まってないんだろう?」
「一応王都の外の土地をもらえたらなぁって思ってるだけど」
「それは国次第だ。国からダメと言われたら?」
「素直に王都内のなるべく広い土地を買い取るしかない。出来ると思う?」
「無理だね。王都の狭い土地ならまだしも広い土地は誰も渡したくはないだろう。使い方法はいくらでもあるからねぇ」
う〜ん。!? そうだ!
「……良し」
「なんだね?」
「卒業するまでの間にどこで研究をしていればいいのかを決めればいいのかな?」
「…そんな長く待ってられないぞ。研究のための材料や道具、私の服なんかも移動しなければいけないからね」
「それも含めて移動が1日で終わるとしたら?」
「それなら卒業するすぐ前まで待てる。そんなこと出来るのかい?」
「出来るはず。あてが外れても俺がなんとかする」
「肝心な土地はどうするんだね?」
「報酬で貰うよ。これから」
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ところで
「服も移動するって、住むつもりですか?」
「当然だろう?何を言っている」
「研究室だけを作るつもりだったんだけど…」
「研究室に仕切りを作れば椅子でも寝れる。食事もそこまでこだわりはないから、研究室と部屋にもならない量の服や小物を置く所を研究室に作るだけで十分なのだよ」
「(どう思う?)」
ダメだな。
「(そうだよね)」
「ダメだ。そういうことであれば研究室以外にマリーの部屋を作る。これは絶対」
「どうしてだね?研究室を使うのは私なのだからどういうものを作るのか、出来た研究室をどう使うのかは私が決めるのが普通だ。その私が研究室以外はいらないと言っているんだ。それに従い、作るのが君の仕事ではないかね」
「そんなことを言うのか…。でも俺の作る商会で働くのであれば俺の意見を受け入れろ」
「へぇ、黙って受け入れろと?」
「そうじゃない。マリーの意見を受け入れるから俺の意見も受け入れろってことだ。マリーもただの操り人形に雇われるのは嫌だろう」
「……そうだねぇ。じゃあ快適な部屋をお願いするよ」
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歴史学の授業中
クリットはアキリーナの隣に座って授業を受けている。ちなみにアキリーナの隣に座るようになったのは前回の授業からだ。
「ねぇ、
「あれって…。やっぱり温度が安定しないのが…。サリナリといろいろ考えてやってはいるのよ…」
「そうなの?」
とアキリーナをクリットと挟む形で座っているサリナリに言う。
「そうです。魔力をたくさん込めたからといってどこまでも温度が上がる訳ではないこと、温度が上がったとしてもそれを保つために相当な魔力の操作が必要だということが分かったぐらいです」
「これでは誰でも使えるどころか大量の魔力を使っても大した成果が出ない魔法にしかならないわ」
金属を溶かすんだから鍛冶について調べなきゃダメだろ…。
「…鍛冶ついて調べた?」
「それについては…」
「はい。本で調べましたが数が少なく、内容も図のみだったりして詳しくは調べられませんでした。鍛冶のことは相当なもの好きがやっている本屋の本だとか、あとは鍛冶屋に聞くしかないですね」
そうか。
「じゃあ、火については?」
「伝説の話ばかりだわ。神が授けただとか災いをもたらすだとか。そうで無くても広く知れ渡っている、熱いとか溶けるだとかしか無い。ファブライト家の本でも詳しいけれども火属性魔法を出す方法が本題だからそこまで…」
「なので今度2人で鍛冶屋に聞きに行くつもりです」
「結構かかりそうだね」
「そうね。でもこうやって途中の成果は言うからどのぐらいかかるかは分かるでしょ?」
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