第33話 依頼?

案内された部屋で用意された軽食を食べ、休憩していると


コンコン

「失礼いたします」

「はい」

ガチャ

「伝言を持って参りました。『溜まったので来てほしい』と」

「分かりました」

「では」

ガチャン

じゃあ行こうか。

「(楽しみだね!)」

お前はな。


====


ガチャ

「伝言通りに来ていただいて感謝します」

「いや、僕が作ったんだから普通に見に来ますよ。で、おお溜まってますね」

「はい」

「じゃあ、井戸から汲んだ水と比べるために2つの桶を並べましょう」


「違いは分かりますが、桶が木なので見にくいですね」

「なら、…これなら見れますよね?」

と言ってガラス製のコップを2つ[創造]し、それぞれの水を入れた。

「そうですね。こう見ると井戸の水の方が濁っているのが分かります」

「…まぁ、このまま飲むのはおすすめしないんですけどね」

「えっ!井戸の水よりこんなに綺麗なのに?」

「綺麗に見えるだけです。あくまでこの道具は目で見て分かるものしか取り除けない。これ以上に綺麗にしようとすることも出来ますが、準備や手入れが大変です」

「それに浄化魔法があるのであれば目に見えないところは魔法に任せたほうが早いと思ったのでこうしました」

「浄化魔法は使わなければ行けないのですか…」

「少なくとも手間と浄化魔法を使う時間は少なくなりますから今までよりもマシと思ってください」

「わかりました。まあ、使ってみないと便利かどうかはわかりませんから」

「…じゃあ、少し便利にしましょうか」

「えっ、これ以上に何かやるのですか?」

「大丈夫ですよ。大きく何かを加えるつもりはありませんから。これを使う時には井戸の

水を上から入れることだけ覚えていれば大丈夫です」


====


改良も終わったのでメイドさんに「もう終わったので帰っていいですか?」と聞いたところ休憩に使った部屋で待たされることになった。


これなんかあるな。もう疲れたから帰りたいんだが…

「(なんだろうね?またなんか依頼されるとか?)」

まあ、そうだろうな。じゃなきゃ待たせるなんてことはしないはずだ。…いやあの王なら「話したい」なんて言って待つように言う可能性はあるか…

「(依頼だったら他にすること…。戦いとか?護衛?)」

なんでそうなる…

「(だってこんなに早く道具作るのは明らかにおかしいじゃん。魔法かスキルを使わなきゃ。有能な魔法なスキルを持っていたらそこら辺に関しても考えるのが普通じゃない?)」


…スキルを見せたのはミスだったか?いや、王家と繋がりができただけマシか?

ともかく、そうなったら任せたよ。

「(魔法を使うときはよろしくね?)」

そうだな。


====


しばらく待っていると

コンコン

「失礼いたします」

「どうぞ」

ガチャ

執事が入ってきた。


「お待たせしてすみません。ご準備ができましたのでご案内いたします」

「準備…ですか。これから何をするのですか?」

「そうですね。本当ならここでお話をするべきなのですが、時間がありませんのでご案内しながらではありますが説明いたします」


====


「まずこれから行くのは王宮直属の騎士の訓練で使う訓練所となります」

変われ。

「訓練所?」

「はい。先ほどの道具を作った際の方法は大まかに聞いています。少なくとも魔法かスキルを使っただとか…」

「そうですね」

「なので、その魔法かスキルが戦いにおいてどのように役に立つのか、立たないのかを確かめさせてほしいのです」

「拒むことは…」

「できますが、また別の日に呼び出されるだけだと思います。個人的には今受け入れるのが得策だと…」

まぁ、そうだわな。

「じゃあ、お受けいたします。行きましょう」

「承知しました」



王宮内を出てしばらく歩くと、訓練所にたどり着いた。


訓練所は古代ローマのコロッセオみたいに円形に作られており、天井は無く、壁には訓練によるものなのか傷がかなりあった。

「ここが訓練所ですか」

「はい。今は剣などの敵との距離が近いときに使う武器の訓練をしています」

「今は、っていうことは違う時があるのですか?」

「はい。魔法の訓練の時もありますし、弓の訓練もあります。すべての騎士が同じ訓練をいたしますが、人それぞれに得意不得意がありますので実際の戦いの際には得意のもので戦うようにしています」

「…それって意味あるのですか?普通に得意なものを伸ばしたほうがいい気が…」

それは違うな。

「その考えは半分間違っていて半分合っています」

「得意なものを伸ばせばそのことにおいては強くなりますし、戦いにおいて勝ち負けの部分で信頼できる者になるでしょう。しかし、その人が何らかの理由で戦いに参加できない場合には大きな痛手となります」


「…代わりになる人がいないから?」

「そうです。それと代わりが効かないどころか、強い人が抜けるので単純に戦力が下がります。なのでそのようなことが起こらないようにすべての騎士が最低限のことはできるように訓練しています」


それに強くなるっていうことは有名になるってこと。有名になれば他から警戒されるから好きに動けない。わざと弱いやつと相手させられたりな。もちろん強いことが良いこともあるが悪いこともある。国同士の戦いだとその悪いところが気になるってことだ。

「(う~ん。なんか納得できないような)」

クリットのあこがれた英雄はその悪いところすら気にならないような強さがあるから成り立つんだ。これが現実だ。


「(そうなんだ…)で、僕はなにをすればよいのですか?」

「騎士と相手してください。傷を負っても治療はできるので安心してください」

「武器はなんでもいいのですか?」

「はい。ですが魔法かスキルを使っていただけると…」

「…魔法かスキルが戦いにおいてどのように役に立つかを調べに来たわけじゃないですよね?」

「!?」

「本当は僕の戦う力を見たいだけですよね?」

「…そうです」

「じゃあ、剣で相手します。剣を貸していただけませんか?」

「かしこまりました。ですが、魔法かスキルの方が得意なのでは?」


「何を言っているのですか?僕はが得意ですよ」

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