第29話 魔導師対策と呼び出し
「治癒魔法?」
「おっと、そこからかい?」
「いえ、自分が想像していた名前とは違かっただけですから」
「そうかい」
回復魔法じゃないんだな。
「実験により魔臓が壊れた時に魔法を失う原因が命を助けるために使う治癒魔法にあるということが分かったんだ。なぜだか分かるかい?」
「傷を治すのがそれに関係してますよね?細かく何が原因かは予想出来ませんけど」
「そうだ。どうやら右の胸の傷を治すと見た目は完全に治っているが魔臓が壊れたままらしい」
「つまり治癒魔法では魔臓は治せないと」
「なぜかは分からない。人の体の中のものなのだから治せてもいいとは思うのだが…」
考えられることとしては
・そもそも治癒魔法の対象外である
・他人の治癒魔法だったら、他人の魔力が魔臓に触れたらだめだった
・体の傷を治したから魔臓が修復されるはずのスペースがなくなった
・傷をつけた武器によって治せるかどうかが変わる
というところだろうか
「ちなみに実験の時に治癒魔法を使ったのは誰ですか?」
「傷をつけられる本人の予定だったが、予想以上に治りが遅く結局その場にいた魔導師によって治癒魔法が使われたと記録されてる」
「その後に魔法が使えなくなっていると分かったと」
「そうだな。私が今分かっていることは以上だ。役にたったかな?」
「はい。じゃあ魔導師は矢や槍で右胸あたりを攻撃して貫けば魔法を使えなくさせることが出来るのですね」
「そうだな。だが魔導師もそうさせないために防御魔法を学ぶことが必須となっている」
「…やっぱり対策があるのか」
「そううまくいかないさ。ただ君の[創造]ならどうとでもできる気がするよ」
「そうですね」
====
その夜 クリットの部屋
どう思う?
「どう思うって?」
魔臓についてだ。
「魔法じゃ、治せないってことだよね?」
それもあるが、…戦いで使えるよな?
「そっちね。魔導師相手だったら右側を狙えばいいっていうのは分かりやすくていいとは思うけど、結局魔導師も人だからあんまり倒しやすさ変わらないと思うよ。普通ならね」
「サクロウなら[創造]で防御を無視して魔臓を壊せると思うから、これから魔導師と戦うときはサクロウに交代するのがいいね」
ただ魔臓がどんな条件で使えなくなって魔法が使えなくなるのかがないのがなぁ〜。
「傷に治癒魔法を使うことじゃないの?」
それはあくまでも使えなくなる方法の1つだ。[創造]で右胸の中に何かを作るということは外側に傷がつかないってことだ。だからマリーから聞いた実験では[創造]での攻撃で魔臓が治せるかどうかは分からない。
本来実験をしないとこの方法が通じるかどうかは分からないけど、何故そうなるのかさえ分かれば[創造]が攻撃として使い物になる。
「つまり?」
自分から実験をするか、原因が分かるまでは使えないな。しばらくは人との戦いがあってもクリット頼りだ。
「そうだよね〜」
====
次の日 学園の休みの日
休日なので進捗を聞くためにファブライト家に来たのだが、
「お嬢様は友人とお出かけに向かわれました」
と言われた。
マジで今やることが無くなったな。
「(そうだね〜。じゃあコーエンさんのところにでも行く?)」
そうするしかないな。
と、言うことで
「来ました!」
「そんな理由で居座られても困るわ!」
「そういえばミルドさんは?」
「書類整理中だ。国に鉱石を納めて一段落したからな」
「どのぐらいの量?」
「そもそも初めて国に納めたからな。比べるものがねぇから説明が出来ねぇ」
「初めて納めたの?」
「そうだ。鉱石商はある量以上が取れる場合にだけ国に納める必要がある」
「国に納める量は?」
「自由だ。少しでも多くても構わない。多くなった場合はお礼があるが少ない場合は国の調査が入る」
「じゃあ、少なくするのは無理ってことだね」
「そうだな。納めたくなかったら取らなきゃいいだけだからな」
「じゃあ、僕は余計なこ」
「話を遮ります!」
と突然ミルドが来て話を遮った。
「おぉ、ミルド。書類の整理は終わったか?」
「終わったっす。それよりも」
とミルドは手紙を取り出した。
「手紙なんですけど、これって…」
「…おいおいマジかよ」
俺には分からないがクリットは?
「(手紙をよく見ないと…)その紋って…」
「あぁ王都の中心、それも王宮の紋だ。つまりこれは王宮からの手紙だ」
「内容は」
ぱらぱら
「……どうやら鉱石の量について俺に聞きたいことがあるらしい。手紙が届き次第すぐに来いだとよ」
「それは僕も関係ありますよね?」
「そうだな。前までは納める必要のない小さな店だったのに突然とんでもない量の鉱石を納めたんだ。何かあるか疑うわ」
「じゃあ僕が行った方が…」
「いやそれはダメだ。この手紙に背くことになる。ミルド、戸締りはいつも通りに頼んだぞ」
「分かったっす」
「クリット、明日も来い。今日のことをできるだけ話すからな」
と言ってコーエンは店の奥に行った。
「じゃあ、明日来ます」
「はい!待ってるっす」
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