第21話 協力とつながり
「どう?」
「大丈夫。熱いというよりは暖かいわ」
しばらくやっていると手全体に火属性魔法を纏うことができた。
…このぐらいの時間でここまでできるのは早いのかな?
「(分からないよ。僕魔法使えないし)全身に纏うまで結構かかりそうだね」
「そうね。ただ7日ぐらいあれば全身に纏うぐらいはできそう」
「そうなの?」
「私ならできるわ。[火属性強化]のスキルを持っている分、他の人より才能があるから」
[火属性強化]っていうスキルもあるのか、スキルは俺の思っている以上にいろいろあるんだな。
「ただ、7日かけたとしても温度を上げるのは無理ね。今でもすこし加減を間違えたら手が丸焦げよ」
「…どのぐらいかかる?温度を自在にするのに」
「60日、いや90日は欲しいわ。学園もあるし、多分慣れるのに実戦が必要だからね」
「なるほど」
「いつまでに自在にして欲しいとかあるのかしら?」
「いや、ないけど鉱石が溶かせるなら早くから溶かしてものを作る方がいいから」
「…なら普通の火属性魔法の温度を上げましょう。そっち方が私にも得があるしあなたにも得がある」
「…それでいいの?」
「いい。その代わりにあなたにも協力してもらう必要があるけどいいかしら?」
「大丈夫だよ。でも僕に協力って?」
「それは…」
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次の日 ファブライト家 庭
「…来たわね」
「いやぁ~。準備するのに時間かかってね。昨日、あんなことを言うもんだから」
「仕方ないじゃない、必要なんだから」
「でも、ファブライト家で用意出来なかったの?」
「多分伝手がなさそうだから難しいわ」
正直大変だったとしか言いようがない。急いで交渉と手伝いをしに行ったんだから。まぁ魔法の出る幕はほとんど無かったから疲れたのはクリットだけだけどな。
「(ほんと。なんならサクロウも僕の身体をつかわなきゃいけないから僕が思っている以上に疲れているよ)」
「まぁ、あなたに頼む代わりに金は全部こっちが出すのだからいいじゃない。で、肝心なものは…」
「これだな。かなり量があるが大丈夫か?」
俺らの後ろにはコーエンさんと俺らと同い年ぐらいの女性が押してきた荷車があった。
「爺や、お願い」
「かしこまりました。交渉は鉱石の質を確かめてからでもよろしいでしょうか」
「いいわ。確かめるなら時間がかかるわよね?もてなしの用意をしてもらえる?」
「分かりました、すぐさまメイドに用意させます。質が確かめ終わったらお呼びしますので大部屋でお待ちください」
とアキリーナに爺やと呼ばれた老人は部下に荷車を運ばせていった。
「じゃあ、案内するわ。突然ことだけどお二人とも時間は大丈夫かしら?」
「大丈夫だ」「大丈夫です」
====
屋敷の大部屋は昨日の部屋とは違い10人ぐらいを一度にもてなせるような作りの部屋だった。
部屋に入るとすでに飲み物や軽食の準備が出来ていた。
「お嬢様、本日の飲み物は紅茶に牛の乳をいれたもの、食べ物としてお菓子を用意させていただきました」
「分かったわ」
「で、今日はなにをするのかな?」
「決まっているわ。火属性魔法の特訓、単に何回も火属性魔法を使うだけだけど…」
「なるほど。つまり特訓の成果が溶けるという形で見えやすいから鉱石が必要だったんだね」
「そうよ。それにしても凄い数だったわね」
「そりゃ、必要っていうから頑張ったんだよ。ねぇ?コーエンさん」
「そうだな。昨日突然来たときは驚いたがなんとか間に合ってよかった。今まで通り2人だったら確実に間に合わなかったな」
「えっ!もしかしてそちらの方も手伝ったのですか?」
「はい!そうです。自分女ですが力には自信があるので!」
「…そういえば自己紹介を忘れていましたわ。私の名前はアキリーナ・ファブライト。あなた達の名前は?」
「そうだったな。俺はコーエンだ。小さな鉱石商をしている。そしてこっちが」
「ミルド・レフレンスです。家名はありますが貴族じゃなくて豪商です。今はコーエンさんのところで働かせてもらってます」
「レフレンス家って貴族あったかしら?」
「元貴族の家です。何十年も前に貴族を降ろされました」
「そうだったのね。何十年も前なら知らなくて当然ね。それにしても本当に小さな鉱石商なのかしら?」
「本当だぞ。まぁ、クリットのおかげで最近鉱石の採れる量を増やせてね。ミルドもいるから後15日ぐらいすれば小さいとは言えなくなるぐらいには安定するな」
「そうなのね」
「まぁ、それでもうちは他よりも小さいからな。今日の件を受けたのはクリットが依頼してきたっていうのもあるが、一番は貴族でも有名なファブライト家とつながりを作れるかもしれないからだな」
「それは鉱石の質によりますわ。質が良ければ鉱石商としてお得意様になれるとは思いますわ」
あれ?
「ファブライト家って鉱石商のお得意様っていないんだ…」
「…あとで聞いてみますわ」
なんかどこかぬけているなぁ
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