第18話 友人と発見

「だが娘は几帳面な性格でね。今の私たちの考えを知りながら、人前では昔の貴族のように評判を気にし、人の見えないところで自分をさらけ出す。私にその日の行動を書いた紙を持ってくる程度には気を遣ってる」

「少なくともこの部屋に入る時の会話を聞く限り、君には他の人ほど気にしながら会話している訳じゃなさそうだね」

「そうですか?」

「だから親としてなんだが、娘とどうか友としてよい関係を気づいてくれないか?君なら任せられると思うのだが。どうだね?」

「…もちろんです。としてお付き合いしましょう」

「それならよかった。そろそろ戻ってくる頃だからこの話は終わりにしよう。喉は渇かないかい?私は渇いているが」

「そうですね。なにがあるか分かりませんが飲み物が飲みたいです」

「わかった」


とアルトは扉をノックする。

コンコン

「3人分の飲み物の用意を。いつも私が飲んでいるもので」

「…かしこまりました。少々お待ちを」

と女性の声が扉越しに聞こえた。


「さあ、改めて君のやりたいことについて話そうか」


====


話していると

「はい」

と扉を開けてアキリーナは数冊の本を持って帰ってきた。

さらにすぐ後に

「お飲み物をお持ちしました」

とメイド服の女性が木製のお盆に3人分の飲み物を持ってきた。

「アキリーナ、よく選んで持ってきてくれた。飲み物は机の上に」

「かしこまりました」

そう言うとメイドは机の上に布を敷き、その上に人分のグラスを置きお盆を持って部屋から出て行った。

「持ってきてくれた飲み物は私の好きな紅茶だ。遠慮無く飲んでくれ」

「分かりました」

クリットは紅茶を飲んだ。


どうだ?

「(甘いね。僕好み)」

「どうだね?」

「美味しいです。僕の好きな味です」

「そうか。それは良かった。これでもかなりこだわりあってね」

「味が変わらないように管理をしっかりし、いい方に変えていく。なるべく長い時間経っても自分好みの味の紅茶が入れられるように」

「そうなんですか」

「それだけじゃない、実はな…」

と自分の紅茶のこだわりを話し始めた。


…これ、長くなるな。

隣を見るとアキリーナもやれやれとうんざりした表情で紅茶を飲んでいた。

「…お父様そこら辺にしてください」

「…あぁ、すまない。また暴走してしまったようだ。紅茶のことになるとすぐに話したくなってね」

はは、と笑いながら言う。


「じゃあ、アキリーナも来たことだし改めて火属性魔法について話そうか」


「正直、今私たちは魔法を研究するような人じゃないというのは話したよね?魔法の研究をやっているのは国家魔導師が主だ」

国家魔導師?

「(国家魔導師は国の元で動く魔導師だよ)」

「別に国家魔導師じゃないから研究できないということは無いが、研究するための材料などは国が一番集まりやすいからどうしても研究ということにおいては国に勝てる貴族はない」

「だから、私たちが1魔法を作るために研究するのは難しい」

「それじゃあ、僕の求める火属性魔法は国家魔導師に頼むか国家魔導師にならないと作れないってことですか?」

「可能性が少ないってだけだが概ねそうだ。だからに使われた魔法を参考にする」


そう言うとアルトは1冊の本を開いた。

その本の装丁はきっちりしているが明らかに古い本だと分かる。

「この本はファブライト家の創立した時に作られ歴代の当主によって書き加えられ、受け継がれてきたファブライト家で使われてきた火属性魔法を載せたものだ」

「もちろんこの世にある全ての火属性魔法がある訳じゃないが、この本はこの屋敷から出すことはないからこの本にしかない魔法があるかもしれない、だから君も探してくれないかい?」

「分かりました」

と、渡された本はアルトさんが持っている本と同じ装丁の本だった。

「アキリーナも」

「はい」


「…本の内容は全部確認してないんですか?」

「まぁ、一応受け継ぐ時に一通り確かめているがなんせ数が多いからね。なんなら同じ魔法も多いはずだからそれも考えながら読むとなるとそこまで覚えられないんだ」

「そうですか…」

まぁ、そうだろ。1冊分の内容の記憶して引き出せるなら良いほうだな。クリットは授業のときに使う教科書の内容を全て覚えているか?

「(無理だね。所々忘れちゃってるし、多分中身が被っていても気づかなそう)」


そうして3冊の本の内容を確認した結果、何個かの魔法に俺らが求めた1000℃を超える火属性魔法を作れる可能性を感じた。

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