第12話 勉強
「…これは今の私たちの技術で作れるものなのか?」
「無理ですね」
「そうか…」
「残念そうですね」
「透明な器は私を含め、多くの研究者が求めていたものだ。器にいれたものが見やすくなるからねぇ。だから安定して私たちが作り出す方法があれば研究はより進む!と思っていた」
「俺の元で働けば使い放題ですよ?」
「君は
「…解決したので報酬を貰えますか?」
「分かった。君の元で働こう!…ところで君が卒業するまで私はどうしたらよいのかな?」
「研究をしてもいいですし、別なことをしてもいいです。俺のできる限りの支援はしますよ。もちろん[創造]を使ってね」
「それならいい。それと言葉使いは丁寧じゃなくてもいい」
「分かった。クリットも同じでいいか?」
「あぁ、年も1つしか違わないからね。気にすることはないさ」
だってさ。
「(分かったよ)」
「ところでどんな目的の商会を作るつもりなのかね?」
「それは…まだ秘密だ」
「まぁ、それでも構わない。私は研究ができればいいからね」
====
「君、この後の予定は?」
「これからクリットに頼んで図書館でこの世界の言葉に関して教えてもらおうと」
「なら私が教えようか?流石に全部は無理だが少なくともクリット君1人で教えるよりもいいと思うのだが。どうだい?」
どうなんだ?
「(僕も知らないことがあるし、受けようか)」
「…お願いします」
「分かった。じゃあ少し待っていてくれ」
そうして目の前のマリーと頭の中のクリットの2人からこの世界の言語の授業を受けた。
====
次の日
俺たちはコーエンの店の前に来ていた。なぜかというと、鉱石を買うために来たからだ。
まさか今日時間があるとはな。授業は昼が終わってしばらくしてからなんだろ?
「(そうだね、入る?)」
あぁ
クリットが入ろうとすると中から人が出てきた。その人は知らなかったがその後ろの店の扉にはコーエンが立っていた。
「ありがとうございました。お、クリットか」
「さっきの人は?」
「あぁ、早速掘るために人を募集したんだ。さっきの人はその募集で話を聞こうと思って呼んだ人だ」
「へぇ、雇うの?」
「…その話は外ではしにくい。用事があってきたんだろう?さあ、入れ」
「わかった」
====
「で、何を買いにきたんだ?」
「鉱石全般、あとはこれ」
「ああ、赤い鉱石な。…これが鉄だとはなぁ」
一応赤い鉱石から鉄が作れることは話してある。
「全部でいくらになる?」
「お代は作ってもった道具の分で払えるぐらいだから払わなくていい」
「…いいのかな?」
「そんなに払いたいのか?契約には「買う」としか書いてない。だから俺は「道具で鉱石を売る」ことにした。なにも問題はないよな?」
「そうだね。問題はそこじゃなくてお金にならないけどいい?ってこと」
「それに関しては大丈夫だ。後々のことを考えたらお前に恩を売った方がいいし、道具の力が凄いからこの鉱石の分ぐらいの金はすぐに集めれるはずだ」
「そうなんだ。じゃあ遠慮無く貰っていくね。そういえば雇う人はさっきまで話していたあの人?」
「いや、あの人には悪いが来る前に決めてしまってね」
あの人ただ面接をしに来ただけかよ。運がないなぁ
「へぇ、じゃあどんな人を雇うことにしたの?」
「俺よりもお前の方が年の近い女子だ」
「…さっきの男の人の方が鉱石を掘るのには役に立つと思うんだけど」
「いや、鉱石の掘るのは俺だけだから最低限掘った鉱石を崖の上に引き上げる力さえあればいい。それよりも俺が掘っている間に書類を書いて欲しかったからな。だから学園の卒業生でそれなりに力もある彼女を雇うことにしたって訳」
「書類?報告書のこと?」
「それもあるが、新しく国に鉱石を納めることになったからそのための書類を書かなきゃいけなくなったんだ」
「その書類が予想以上に大変そうでな、俺じゃできなさそうだからどちらかというと鉱石を運ぶよりも書類を書くことを仕事の中心にして雇うことにした」
「国に納めるんだ。じゃあ鉱石の買う量は少なくなるのかな?」
「いや、それはない。なんせ契約でお前に優先して売ることになっているからな。それに今買ったぐらいの量ならば国に納めても問題ないぐらいの量は余っている。だから大丈夫だ。まぁ、道具のおかげなんだがな」
「そんなに持ってこれるの?」
「あぁ、昨日嫁に手伝って貰って試したら、いつもの4~5倍ぐらいの量の鉱石を崖の上に持ってこれた。そこまで力が強くない嫁でも4~5倍だからな力が強いやつなら6~7倍ぐらいなら運べると思う」
「…じゃあいっぱい買えるね!」
「…次からは金を用意しとけよ」
「分かってるって」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます