第9話 クリットの目的と謎の女性
次の日 クリットの部屋
今日は学園か?
「よく分かったね」
いや、俺の世界では2日休んだら次の日は学校、この世界で言うところの学園に行ってたからな。
「そうなの?学園では5日は学園での授業があってその後に授業ある日の半分の2~3日は休むことになっているんだ」
学園だけなのか?
「いや、学園とは言ったけどこの国も似たような日で動いているよ。休む日は人がいっぱい来るから店に大量に商品が並んだり、仕事によるけど完全に休みになるところもあるよ」
そうなのか。ちなみに1年は何日?
「365日。丁度5で割れる」
====
朝食を食べ、学園に行き授業を受ける。その後は図書館に行きこの世界の文字の勉強をしてもらう予定だ。
今受けている授業の内容は魔法に関してらしく、魔法の呪文の意味など詠唱の根幹の部分について先生が話しているところだ。
…まぁ、俺もクリットもクリットの身体に魔力がほとんどないから普通に魔法を使うことはないから聞いても意味は無い。そういえば何でクリットは魔法学園に入学したんだ?魔力がほとんど無いなら入学する必要はないだろうに。
そんなことを考えていると授業が終わったようで先生や周りの生徒が片付けを始めている。もちろんクリットもだ。
なぁ、なんで魔法学園に入ったんだ?魔法が使えないなら別に入る必要は無かっただろうに。
「(魔法が使いたかったからかな)」
魔法が使いたかった?
「(そう。アルフレス魔法学園はニリストスでの一番といってもいいぐらいの有名で人気な学園で、その人気の理由は「優秀であれば来る物拒まず」の精神でやっているからなんだ。魔法の才能があるかどうかは関係なく、優秀であるかどうかがアルフレス魔法学園に入れるかどうかにかかっているんだ)」
優秀かどうか?どう判断するんだ?
「(僕もどう判断しているかは知らないよ。でも実技試験と座学試験、それに面談はやったね)」
その3つで判断しているのか。
「(それにもう1つ人気の理由があって、それが貴族であろうと王族であろうと優秀でなければ入れないってこと)」
…それ、マジ?
「(マジ。だから王族はもちろん貴族もしっかり勉強と訓練をする。ちなみに卒業後はどこにいっても引く手数多だよ。冒険者だと高いランクのパーティーから声をかけられるし、店だと王都でも上から数えた方がいいぐらいの大きな商会から普通よりもお金をだすって言われるぐらいだから)」
へぇ、就職先には事欠かないってことか。で、魔法が使いたかったって?
「(単純だよ。アルフレス魔法学園に行けば僕にも使える魔法があるって思ってただけだから…)」
結局使えないと。
「(そう)」
そういえば退学になった方が得って?
「(それね、単純だよ。この学園は優秀なひとを集めているからたまに他の生徒を見て、いやになって辞める生徒がいるんだ。ただ学園側は入学した生徒の分だけ資金を用意しているから、途中で辞める生徒が出るとその生徒のために使われるはずだった資金は同じ学年に振り分けられる。それに先生はその人に使っていた時間を他の生徒のために使える。他にもあると思うけど辞める生徒が出るとその分他の優秀な人が得をする、そういう制度ができているの)」
でも、1人に割かれていたものが数百人に割り振られたところで大したことないだろ。
「(そうだよ、あくまで学園側が無駄にしないために決めた制度。得になるといっても小さいのに勘違いする人がいるんだよ」
そうなのか。
そんなことを話して図書室に向かっていると
「君、時間はあるかね?」
唐突に声をかけられた。
「うん、誰?」
振り向くと茶髪で制服は着てはいるが、何よりも目を引くのはその上に白や少し黄ばみがかったたくさんの布が縫い合わされた服(俺の世界でいう医者が着る白衣ようなもの)を着ていたことだった。
「そうだったな。私はマリー・ハーヴェストだ」
…知ってるか?
「(いや、知らない)マリーさんですか。で、僕に何の用ですか?」
「ふむ、そっちは名乗らないのか」
「あ、すみません」
「いや、いいよ。君のことは知っている、クリット君」
「…なんでですか?」
「それは君がこの学園では珍しく魔法が使えないからだよ。少なくとも1つ上のはずの私の学年にまで情報が入ってくる程には有名だ」
「そうですか。それで用事とは」
「君、3日前に外の校舎の奥の壁の近くにいただろう?」
「!?」
「そういえば、君はなんで有名だったかなぁ。さっき私が言ったようなきがするなぁ」
「…脅しですか?」
「いや、脅すつもりはないよ。あそこにいたってことはそのことを隠したがっていることぐらいは分かる。ここで話すかい?丁度、私が借りている部屋が近くにあるんだ。そこに私以外誰もいないから隠し事にはうってつけだろう?」
確実に見られていたな。それにわざわざ自分の部屋近くで話しかけてきたとは…
クリット、お前の好きにしろ。ここで部屋に行くにしろ断るにしろ俺のやりたいことにはほとんど影響はないからな。
「(僕は行くよ。周りに魔法が使えることがバラされることよりもここでついていったほうがマシだね。場合によってはサクロウのことを話していろいろなことの協力を持ちかけるのもありかな)」
「どうだね?」
「…行くよ」
「じゃあ、案内しようか」
俺たちはマリーについていくことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます