第8話 剣とお金の価値
剣、試しに持ってみたらどうだ?
「(うん、結構軽いんだね。冒険者が持つのは軽い方がいいのかな?)」
さあ、それこそ聞いてみればいいのでは?
「(それもそうか)すみませ〜ん」
すると女性の店員がこっちに来た。
「何でしょうか?」
「冒険者が使う剣って重い方がいいですか?」
「…そうですねぇ。人によりますとしか言えないです。私の考えとしては自分がやりたいことに合わせるのが一番かと」
「僕は重ければ重いほど威力が高いからいいと思ってたんだけど」
「その考えは半分あってます。けれど時には重さが邪魔になります。例えば魔物に深く刺さって抜けなくなったり、そもそも威力が高すぎて周りの被害も大きくなってしまったりします」
「なので、軽いものを選んでそうなる可能性を少しでも減らそうとする人が多いです。武器が使えなくなるよりは軽くして威力を減らした方がいいと」
「なるほど」
「もちろん重い方を選んだとしても止めません。重いなりに良いところはあるので」
なら軽い方がいいんじゃないか?複数の魔物の囲まれても相手出来るし、何より持ち運ぶのに余計な力をかけなくても大丈夫になるんだし。
「(…どっちも選ぶのはありかな?)」
いや、なしだろ。バランスが悪くなる。
「(じゃあ…)…じゃあ、それなりに安くて重い剣を持ってきてもらえますか?」
「分かりました。重い方ですね」
そう言うと店員は移動していった。
本当にいいのか?重い方で
「(うん、よくよく考えてみたら軽い方は[創造]で作ればいいんじゃないかなって)」
それは重い方にも同じことが言えるのでは?
「(重い方は1つだけでもいいけど、軽い方はいろいろ使い方が考えられるから何個もあった方がいいじゃん。だったら軽い方を[創造]で作れば安くなるし、[創造]を使い慣らすことも出来る)」
…よく考えているんだな。
「(まあね)」
そんなことを話しているとガタイのいい男性がこっちに来た。
「お前さんか?安く重い剣を要求してきたのは」
「はい、そうです」
「…これはどうだ?持ってみろ」
そう言って店員の男性は普通にみえる剣の持たせてくる。
どうだ?
「う~ん。もっと重いものはない?」
「じゃあ、こっちはどうだ?」
そう言うと次はさっきよりも一回り大きい剣を取り出した。
クリットは周りに注意しながら軽く振り回す。
「うん、これならいいかな。多分これ以上重くしたら値段がすごいことになりそう」
「そうか、確かにこれ以上重い剣だと大剣になるからな。それにしても見た目によらず力持ちなんだな」
「ふふ~ん、すごいでしょう!」
それを自慢するやつはなかなかいないぞ。明らかに力持ちの店員も困惑して苦笑いしているぞ。
「…ハハ、この剣を買うってことでいいんだな?」
「うん、いくら?」
「銀貨7枚だな。プレートは持ってるか?」
プレートを見せると
「なら銀貨5、いや4枚だな。見たところ冒険者になりたてだろ?なら少し安くしとくよ」
「いいんですか?」
「あぁ、お前さんに限らずなりたてのやつらには安く売ってるんだよ。もちろんしばらくしたら普通の価格で売るが」
「そうだったんだ、だったら依頼を受ける前にはお礼がてらここに来ようかな」
「そうしてくれるとうれしいよ。剣の入れ物を必要だよな?」
鞘か、絶対にあった方がいいな。自分の身のためにも、剣の保管のためにも。
「うん。初めて剣を買うからなにも持ってないんだ」
「初めて買うのがかなり重い剣とはな。お前さんが自分で調整出来るならいいんだが無理だろ?金はかかるがここに来れば調整してやる」
「おお、それはうれしいな。…自分で勉強して調整出来るようにできないの?」
「無理とは言わないが、調整は長いことやってきた経験がものをいう。少なくともまともに調整できるようになるために5~6年はかかる。武器を売らない限りは金を払ってでも人にやってもらった方がいいぞ」
やっぱりそういうのは一朝一夕で習得できるものではないか。
いろいろな話を聞きクリットは銀貨4枚を払い、鞘付きの剣を購入した。
どうやらこの人は店長らしい。
「買ってくれてありがとよ。また来い」
そう言って手を振ってくれた店長に手を振り返して店を後にした。
「(意外と安くなったね)」
と言われても金の価値が分からんのだが...
「(そうだったね。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で見たことないけど白銀貨1枚って感じ。一番安い銅貨の価値を例えるのによく言われているのは、銅貨10枚でパン1個ぐらいになるってことかな)」
パン1個の価値が分からないが俺の世界基準で1個100円と考えると銅貨は10円、銀貨は1000円、金貨は10万円、白銀貨は1000万円ってところか。
「(分かりにくいよね...)」
いや、パンで例えてくれたのは助かった。とりあえず金貨でもそれなりに高いものだということは分かった。
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