第2話 [創造]とは
授業終わり、昼の時間
そういえばどのぐらい時間があるのか?時間がなければ、あるときでいいんだが。
「(あるよ。昼のすぐ後の授業はとってないし、ゆっくりするぐらいにはある)」
わかった。じゃあ図書室に行こうか。
図書室というか自分のイメージする図書館、いやそれよりも遙かに多い図書で埋め尽くされた空間がそこはあった。
大きいな。
「(学園だからね。勉強のために作られた本や魔法に関しての論文なんかもあるから)」
「(多分僕の利用出来ない本を含めるともう1個部屋が必要になるぐらいかな)」
そこまでか。この国最大級ってところか?
「(そうだね。で、お目当ての本はなにかな?スキル関係は決まりとして)」
スキル、魔法、この国の地図それ以外の国の地図もあればいいな。
「(他の国の地図は流石にむりかな)」
そうしてクリットは数十冊の本を机に並べた。
…かなり多いな
「(ふふ、そうだね。じゃあ、スキルからね)」
「(スキルは必ず一人一つだけ持っているもので、スキルによって魔法の強化やそもそもの身体の強化などを受けているの)」
必ず一人一つなのか?
「(そうだね。生まれた時から持っているもので生まれてから10年たった時から鑑定士にスキルの内容を教えてもらうことが出来る)」
スキルの内容は?
「(魔法の強化だと属性強化や適正、身体の強化だと力、魔力、目、後は器用になったりするみたい)」
…お前のスキルは?
「([創造]っていうスキル。材料さえあればなんでも作れるっていうもの、でもなにもないところからは作れないし、自分の知らないものは作れないし、材料があっても作り方さえわかってたら[創造]なんていらない。本当に使い道のないスキル)」
使えるんじゃないのか?何でも作れるのであれば
「(材料がわかっていたら普通に作れる人がいるってことでしょ?それに過去にも[創造]を持っていた人がいて、そのほとんどがスキルを使わずに一生を過ごしたって話はスキルを調べたことがある人にとっては有名な話)」
魔法に関しては?スキルはそれだけだろ?
「(そうだね。魔法は身体の中にある魔力を使って使う物。魔法には属性があって火、水、風、土、雷、無の6つ。無属性は身体強化や回復魔法など他の五属性に入らないものが入るね)」
「(基本的に誰でも使えて、魔法の威力や効果は使う魔力に影響される。…まあ、僕は使えないんだけどね)」
何でだ?…魔力がないからか。
「(そう、僕には魔力がほとんど存在しない。簡単な魔法すら使えないほど少ない)」
魔法についてはそのぐらいか。
「(後は魔法を使い戦力に数えられる人のことを魔導師っていうくらいかな。魔導師で有名な人とかは今はいいでしょ?)」
そうだな次は…
「(国の地図だよね?いいのがあったよ!)」
そういうとかなり大きな紙に描かれた地図を広げた。
「(少し古いけどこの国を含めた10つの国の関係が描かれている地図だよ)」
「(まずこの学園があるニリストス、この国はほとんど変わっていないからここに描いてある通りかな)」
他の9国は変わっている可能性があるのか。
「(そうだね。変わっていない国もあると思うけど、国が国を吸収したりしてるからね)」
「(隣にあるプロックス、アクーリス、地図の情報じゃないけどナットワズの食べ物は有名だね)」
…読めないんだが。一応9つの名前全て言ってほしい。
「(ああ、ごめん。さっき言ったプロックス、アクーリス、ナットワズにトクル、エクプリア、レイクパドス、イールトン、カト、オクノカだね。文字の勉強も改めて必要かな?)」
まあ、そうだな。ただ試したいことがある。
「(…何かな?)」
---…っ!
図書室を出る際、いや本を読んでいるところからずっと見られていることに俺らは気づかなかった…
====
「(ここだったら大丈夫だと思うけど)」
そういうと学園内の魔法などの実戦などをしても問題ない人がほぼ来ない場所、学園と外を仕切る壁近くに来た。
「(変わってくれ)わかった」
そうしてクリットの身体を動かす。
「(なにをするの?)[創造]は確か材料とそれを組み立てる知識が必要なんだよな?」
「(まあ、そうだけど)」
それならいい、俺の考えが正しければ…っていうか
「俺の考えはわからないのか?(あれ?確かに考えているなら僕にも伝わっていないとおかしいよね?)」
…まあいいかそれは。俺の考えが正しければ[創造]で魔法を再現出来るはず。
「(魔法を?そもそもサクロウは魔法を知ってるの?)いや、ここの魔法は知らない」
「(じゃあ)でも他の場所の魔法は知識としてあるし、それに類することに関しての知識もある(!?)」
そもそもの話、[創造]のデメリットの1つである「自分の知らないものは作れない」というものはこの世界だからこそのものだと思われる。この世界は魔法に関しては進んでいると思うがそれ以外の分野はおそらくそれほど進んでいないと思われる。なぜ火が出来るのか、なぜ雨が降るのか、なぜ天気が変わるのかなど俺のいた世界では基本的なことも広く伝わっていないから。だって魔法があるから。火をおこすのは火属性魔法、雨が降らなければ水属性魔法を使えばいい。そんな感じで日常生活に魔法が浸透しているから誰も疑問に思わない。だから[創造]で再現出来ない。知ろうとしないから。だけど…
「俺なら知っている。だから[創造]を十二分に使えると思う(…)」
だからここでは考えつかないようなこと、例えばよくあるファンタジーにある魔法をイメージすれば魔法を[創造]で作れるはず。
「炎よ、燃えよ」
ゴオォ
俺の手のひらから十分に炎と呼べるものが出る。ちゃんと燃え広がらないように草のない地面に火がぶつかった。
「実戦で使えないかも知れないけどな。俺は戦ったことはないからな」
「…どうした?(す、すごい、本当に魔法みたいに火が!)」
…どうやら興奮しているようだ。
「(他の属性の魔法は?できる?)」
そこから無属性以外の五属性を、俺の想像出来るものを少しだけ使った。
「(すごい!)」
お前さっきからそれしか言ってなくね?
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