未来と魔法の探究者
ようび
第1章 世界の始まり
第1話 最初の出会い
眠っていたのだろうか。
目の前は真っ暗闇、いや目をまだ開けていないのか。
そんなことをふと考えていると、いつもと身体の感覚が違うことに気づく
まるで操り人形のように、操作権が他にあるように身体を動かせなかった。
突然、明るくなる。
「(知らない景色だ)」
いつものようなコンクリートや人工的な壁紙の部屋ではなく、目で見て本物の木材とわかる天井が目に映った。
「(ここはどこだ、それに勝手に目が開いたよう…っ!)」
景色が動いた、何もしていないのに
「(なんだこれは!)…っなに!?誰かいるの!?」
「(いや、)ひゃっ(こっちが聞きたい…)頭のなかに!」
理解した、俺は誰かの中にいるのか。
「(お前は誰だ)…いやぁ、それを言うのはこっちの話なんだけど」
「(前本咲郎だ)…マエモトサクロウ、人の名前?」
「(人間だ、今度はそっちの番だ)…あぁ、クリットです。」
状況をある程度把握した。ここはどうやらクリットの部屋らしい。今座っているベッドに本が数冊ある棚、木製で手作り感がかなりあるテーブルが置いてある。
「(クリット…ここは異世界か?)…イセカイ?わかんないなぁ」
「(いや、こっちの話だ。おそらく木材の天井と部屋の家具の作りからそれで合っているはず)部屋がどうかしたの?」
「(それまで聞こえるのか、不便だ)あはは、こっちから1ついいかな?(なんだ)」
「何で僕の頭の中にいるの?(俺も知らない、戻せるなら戻してほしいぐらいだ)難しそうだね、それは」
ハハ、と笑いながら言うこの身体の持ち主クリット。こいつ意外と順応性が高いな。
どうあがいたって今は現状を変える術はない。とすると
「(俺に身体の操作権を移せないか?)ソウサ権?僕の身体操りたいってこと?(そうだ)」
「どうすればいいんだろ?(…素直なんだな)いやぁ、今はそうする他にはないかなって」
ふと会話(?)が途切れたと思うと感覚が変わった。
「(お、できたできた)どうやった?(身体を楽にして、入れ替われーって思った)」
試しにやってみると先程と同じ感覚に戻った。
「うわっ、びっくりした!(なるほど、これで入れ替われるのか)」
ふと思い出した、クリットは目を開けたしかも今いるのは寝床だ。つまり
「(今は朝か?)え、あ」
どうやら用事があったみたいだ。
====
「お父さん、お母さんおはよう」
「やっと来たか、もう少ししたらメイヤに見にいってもらうところだったぞ」
「急いで食べないと学園に送れるよ~」
「わかった」
朝食はパン、ハムみたいな厚い肉、牛乳だと思われる。そこまで文明レベル、特に食に関しては低くないのか。キッチンを見るとクリットの母親らしき人が火を手から放ち、小さい木材を火にくべて調理をしている。
「もぐもぐ」
木の器、フォークなどの食器や日用品の質は流石に低いか。
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
「(さっきからうるさいよ)」
あぁ、聞こえているんだったな。今から学園か?
「(まあ、そうだね。学園は知っているよね?)」
…おそらく俺の知っている学園とは違うと思うが。
町を出て平原を歩いて行く。
「(あ、そっか!学園は王都の一番大きな魔法学校のことね。ここから王都まではギリギリ歩いて行けるぐらいだね)」
平原の土で作られた道を通り歩いて行くと、城壁のようなものが見えてきた。
あの大きな城壁のことか。魔法が使えるのか?
「(…全員が全員魔法を学びに来ている訳じゃないから)」
使えないのか。
「(もう、わざわざ濁したのに…)」
すまないな。
「(でも、スキルは持ってるよ)」
スキル?
そんな話をしていると石などで作られたそれなりに大きい城門についた。
「よろしくお願いします」
「…良し」
意外と雑なんだな。
「(まあ、毎日すごい数見なきゃいけないし、学生通行書は見ればすぐにわかる物だからね)」
「(スキルについてだよね?)」
いや、いい。学園には図書があるはあるんだろ?そこで調べればいい。
「(そうか!僕だって曖昧な部分があるしそうした方がいいか)」
しばらく歩いていると大きな城のような建物に着いた。
ここが「(アルフレス魔法学園だね)」
「(図書室は昼でいいかな?)」
それでいい。流石に授業の邪魔をするわけにはいかないからな。
学園の中に入ると騒がしい学園内を通る。騒がしいといっても喧騒ではなく生徒の話し声がたくさんあるといった感じだ。
クリットはその学園内の教室に入っていく。
いつもここなのか?
「(座学はそうだね。実習は学園の外に行ったり、闘技場に行ったりするけど)」
すると
「おいおいおい、クソ雑魚スキル持ちなのになに張り切って来てんですかね~」
クスクス…
物語でよくありそうないじめか?しかも4人
「僕は確かに役にたたないスキルを持っていますけど、それをわかっていて学園に来ていますから」
「ハハハ!実技は赤点ギリギリの最下位なのにか?しかも座学が少し出来るから赤点になってないだけで、本来なら退学になってもおかしくないのに!」
「なぁ、魔法が少しも出せない雑魚」
「・・・」
「強情だな、まぁいじめを止めるつもりはないぜ。なんせお前が退学になった方が俺たちには得だからよお」
「そうですか」
ハハハっと笑う。
何だこいつら。しかも得?
「(この学園の制度がね)」
制度だとしても生徒1人を退学にして得になることがあるのか?
「(得というかそうなるかもしれないってだけ)」
まぁ、それも含めて昼だな。
「(授業中は静かにしててくれない?集中したい)」
了解
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