第316話 三重奏
「ゆ、誘拐ってどういうことなの?」
慌てるミアママさん。
娘が誘拐されたのだ、無理もない。
「犯人の目星はついているのですか?」
誘拐犯の目的はなんなのか?
身代金か?
いや、ミアさんを狙ったってことはミアさん自身が狙いなのか?
だとしたらあの常連が怪しいぞ。
「目星も何も『剣聖ちゃん』っす!目撃者の話では黒塗りの車に押し込まれて連れていかれたそうっす!」
スイマセンでしたーー。
……事件じゃなさそうですね。
スカウトかな?
「け、『剣聖ちゃん』ってあの『剣聖ちゃん』?どうしてミーちゃんを?」
「落ち着いてください。兎に角地上に出ましょう。犯人から連絡があるかもしれません」
確かに何も知らない人から見たら誘拐に見えるかもしれないけど……。
まあ俺も外に出ようか。
︙
︙
「霞さん、ちょうどよかったです。ミアさんが電話をしてほしいと支部の方に連絡がありました」
地上に出たところで林さんに声を掛けられた。
ミアさん本人から電話が来たようだ。
やっぱり誘拐じゃなさそうだね。
「……わかりました」
「ミ、ミーちゃんは無事なのかしら?」
「……もしもし、無事ですか?無事じゃない?そうですか。状況をお願いします」
無事じゃなーい!と電話越しにミアさんの大きい声が聞こえた。
無事らしい。
「おーい、春樹。どうした?『剣聖ちゃん』は帰ったのか?」
総司と相川が買い物から帰ってきた。
「では一旦切ります。……明石家さん、ミアさんに電話をお願いします」
「何々?なんかあった?」
「ミアさんが『剣聖ちゃん』に連れていかれたみたいなんだよ」
連れていかれた、誘拐とかよりもこの表現があっているだろう。
「もしもし、ミーちゃん、大丈夫なの?え?攫われた?すぐに警察に電話を!え?しなくていいの?ええ?お店のお金を白石さんに渡すの?身代金ってこと?え?食費?今日と明日の分だけね?……うん、うん。ミーちゃんの分の晩御飯はいらないのね。……そう、本部に向かってるのね。わかったわ、伝えておく。遅くならないでね。……ソウちゃん、ミーちゃんは晩御飯は外で食べて来るって」
うーん、ダンジョンじゃないからミアさんの声はうまく聞こえなかったけど、本部に連れて行かれたらしい。
「もしもし、私です。仕事は終わっていますか?今は家に?はい、そちらに行くので通行許可を。それとそちらにミアさんが向かっているので、身柄を確保してほしいのですが……。いえ、剣聖に連れ去られたようです……」
霞さんも別の場所に電話してしてるね。
「どうなってるの?」
それは俺も聞きたい。
「大丈夫だとは思いますが、私はミアさんを迎えに行ってきます。夏目さん、白石さんにはパフェを出さないように」
「え?」
もう忘れてたけど、白石さんのこともなんとかしないとね。
まあしばらくはパフェ抜きってことで。
「霞ちゃん、ミーちゃんをよろしくね」
「はい。……春樹さん、ちゃんと門限までに帰ってくださいね。間違っても二度寝などしないように!相川さんは春樹さんが寝ないように見張っていてい下さい」
うっ。
もう一回って思ってたのに……。
「はーい」
MPは余ってるし、鎧操作の練習でもしようかな?
︙
︙
「【チャージ・鎧・上】【チャージ・鎧・防具強化・鎧・上】【チャージ・鎧・上鎧操作】」
綺麗に地面に並べた鎧に手を触れて『チャージ』を開始する。
『鎧操作』を発動させた時点で手は放しているが、MPは減っている。
「うわっ、本当に立った」
その場にて鎧が立ち上がる。
倉庫にて相川に監視されつつ、鎧操作の練習中だ。
総司は晩御飯の準備中です。
あまり見られたくはないから、相川も俺じゃなくて白石さんを監視してほしいんだけどね……。
(【チャージ・鎧・魔力アップ・上】【チャージ・鎧・耐久アップ・上】【チャージ・鎧・腕力アップ・上【チャージ・鎧・敏捷アップ・上】)
まずはスーパーモード。
一歩、二歩と鎧を歩かせてみるが、狙い通り前より操作がスムーズになった気がする。
細部まで指示が行き届いている。
(【チャージ・槍・武器強化・槍】【チャージ・槍・魔力アップ】【チャージ・槍・耐久アップ】【チャージ・槍・腕力アップ】【チャージ・槍・敏捷アップ】)
槍を手に取り、こちらもチャージ。
ダブル、ハイパーモードへ。
チャージ中の槍を鎧へと手渡す。
MPは?
更に減りが早くなっている。
成功だろう。
「なーーにーーなーーーにーー、、、どーーうーーなーーっっってーーるーーのーー???」
間延びした相川の声が聞こえる。
槍を手放したのにハイパーモードは維持されている。
まだ行くぞ。
(【チャージ・盾・防具強化・盾・上】【チャージ・盾・魔力アップ・上】【チャージ・盾・耐久アップ・上】【チャージ・盾・腕力アップ・上【チャージ・盾・敏捷アップ・上】)
鎧の左手についているルールドガントレットに触れ、盾のチャージも開始する。
そのまま盾のスーパーモードもだ。
トリプル!
ウルトラモードだ!
音が消える……。
シールドガントレットから手を離してもそのままだ。
静かだ。
鎧に指示を出して相川の隣に並べる。
「相川、ダンス、頼む」
ゆっくり喋ったつもりなんだけど、伝わっただろうか?
「おーーーーかーーーーのーーーーしーーーーたーーーー」
相川の返事に耳がキーンとする。
なんて言っているのかわからない。
「いーーーーくーーーーよーーーー!!!!!いーーーーちーーーー、、、にーーーーい……………」
何とか開始の合図を判別して、鎧を踊らせ始める。
ゆっくりだ。
相川が一のリズムを取る間に、俺は五のリズムを刻める。
早くなり過ぎないように、ゆっくりと鎧を踊らせる。
鎧の動きはどこまでもスムーズ。
俺よりも綺麗に、いや、相川よりも綺麗に踊っているんじゃないか?
逆足も問題なくこなし、2周目、【プリマダンス】へ。
一周目の【ダンス】のバフは俺には来てないと思う。
鎧の方に掛かっているのか?
そう言われると鎧の動きが軽くなったか?
「ハーーーールーーーーくーーーーんーーーーめーーーー!!!!!」
め?
真っ赤になった相川がダンスを途中でやめる。
あれ?????
ぽたぽたっと、足に水滴が落ちたのを感じた……。
また鼻血か?
真っ赤だった視界が真っ白になる……。
︙
︙
スポットライトを浴びる。
……いつもの夢だな。
すぐに来るぞ!
(【チャージ・槍・武器強化・槍】【チャージ・槍・魔力アップ】【チャージ・槍・耐久アップ】【チャージ・槍・腕力アップ】【チャージ・槍・敏捷アップ】)
槍のチャージを開始して、首無しの鎧を待ち構える。
――――――――――
ありがとうございます!
新作の方、再生数爆上がりですm(_ _)m
宣伝って大事ですね(@_@;)
今日だけもう一回宣伝させてくださいw
タイトル:『します、させます、させません』(仮)
https://kakuyomu.jp/works/16818093074397292324
カクヨム内なら直リンク張れるのね^^;
『ただの人』と同じく現代ダンジョン物となっております。
【時間遡行】でタイムリープして無双する感じの作品です。
こちらと同じく毎日0時更新(予定)で頑張ってます。
現在12話まで投稿中です。
カドカワBOOKSファンタジー長編コンテストに応募中なので、レビュー、応援、フォロー頂けると大変助かりますm(_ _)m
もちろんコメントも大募集中!返信も頑張ります!
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