第32話 次はアニソンだ
「さて、と。今日は次回のイベントに向けた打ち合わせだ! 次回はさらに盛り上がりそうだ。気合い入れていくぞ!」
「「「おー」」」
いつものカラオケルームでの打ち合わせである。
「曲の候補だが、また3人で考えたみたいだな? 聞かせてくれるか?」
「おっけ〜。今回は、より視聴者層に合わせた曲にしようと思って、ズバリ、アニソンで行こうかと話したんだ!」
「まあVtuber好きとアニメ好きは共通点ありそうですからね、見ている感じですが」
「とはいえ、アニメは無数にありすぎるから超有名曲にしようと思って。今回も15分だから3曲。具体的にはSupercellの「君の知らない物語」、エヴァの「残酷な天使のエーゼ」、最後はAimerの「残響散歌」という感じで行こうと思う。特に3曲目は歌がかなり難しいから高木ちゃんにとってはチャレンジになると思うけど、まあ大丈夫っしょ〜って感じで」
「頑張る!」
「どれも名曲だし、超有名だから知らない人は少ないだろうな。良い選曲だと思う! 明日から練習するか!」
「そうだね。まず楽譜を買わないといけないから後で買いに行こう〜。生演奏は評判良かったっぽいから今回も頑張らないとね〜」
「後でアーカイブを聞いてみましたが、盛り上がりは段違いでしたからね! 他のVtuberではなかなか真似できないと思いますし、良い差別化になると思います!」
「そうだな。歌っているシーンを切り抜いたショート動画もいい感じに再生されているぞ。誰が弾いているんだ? っていうのもちょっと話題になっていたし、悪い要素はないな」
「ちょっとお手洗い行ってくるね〜」
「あ、私も行きます〜」
綾香と下井草が部屋を出ていったので、高木と二人になる。
「いやあ、こんなことになるとは思わなかったなあ」
「イベントの話か?」
「ううん、全部。一人でそこそこの感じでやっていくんかなあと思っていたから、こんなに手伝ってくれる人がいて、一緒に演奏しながら歌を披露して、何万人にも見てもらえる日が来るとは想像できていなかったよ」
「あー、なるほどな。俺もVtuberのお手伝いをすることなんてちょっと前まで考えてもいなかったさ。でも、面白いな、この活動」
「ね。全部数字に跳ね返ってくるし、変な人もいたりして大変だけど…… こんなに面白い職業があるんだ、って思った。ちなみにさ、チャンネル登録者10万人とか100万人とかいったらまた景色が変わるのかな?」
「全然違うと思うぞ。出来ることも増えているだろうし、周りの仲間もすごい人ばっかりになっているだろうしな。一曲出しただけでの盛り上がりも段違いだろう。SNSのトレンドに載ったりすることもあるかもしれないな」
「想像するとちょっと怖いけど、楽しみだね。次のイベントも成功させて、早くそのステージに行こうね!」
「ああ、頑張ろうな!」
「ちなみに私、ここねこさんが初めて見たVtuberだったんだ。実はそんな人と一緒に配信できるなんて感動しているんだよ?」
「そうだったのか。高木はあまり感情を表に出さないタイプだからわからなかったよ。それじゃあ今回は前以上に気合い入っているんだな?」
「うん、もうすごい気合い入っているよ。あわよくばここねこさんと仲良くなれたらいいなーなんて思ったり。雲の上の有名人だからなあ。できればサインとか貰いたいけど対面するわけじゃないから残念」
「確かに対面だったら俺もサイン貰ってたな。噂によると中の人?キャストの人もすごい美人らしい。気になるな」
「やっぱVtuberの中の人って気になるんだね。私も自分の中の人を探るサイトがあってびっくりしたよ。前世は?とか中の人は? みたいな」
「まあ、そんなもんだ。見えないものは見たくなるもんだよ」
「…… なんか気持ち悪い」
その後は皆で楽器屋に行き、アニソンをまとまって収録している楽譜を購入する。綾香は知っていたのかもしれないが、ちょうどよく3曲ともまとまっている本があったため、安くで済んで助かった。
「ベースは新しいの買ったりしなくていい、よな?「
「うん、大丈夫。楽器は特にいじらなくていいように私の方でアレンジするよ〜 私たちの実力にあった形にも修正しないといけないところもあると思うしね」
「おお、さすがだ!」
「助かります! 難しいとあわあわしちゃうんですよね……」
「じゃあ、楽譜も買えたし、明日から頑張ろうなー!」
「「「はーい!」」」
その後は前回と同じことの繰り返しである。練習練習練習。ただ、やはり2回目ということで慣れがある。明らかに成長速度が速い。3週間で3曲とも仕上げることができ、本番まで1週間を残して準備は万端になった。後は微調整をしていくだけだ。
「今回は前回以上にうまく行きそうだね」
「そうだね〜 演奏も問題ないし、高木ちゃんの歌も上手くなっているし、盛り上がるんじゃないかな〜」
「視聴者からいっぱいイベント楽しみにしているっていうコメントもらっているからね、なんとか成功させたいね!」
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