第7話 Vtuberの世界は奥が深いな

Vtuber。生身の人間の代わりに2Dや3Dのアバターを使って動画配信サイトで活動する配信者のことである。誕生したのは俺が中学生の頃にも関わらず、もう数万人が活動しているようだ。

 調べていくと、いくつかの大手事務所(箱と呼ばれる)があることがわかった。最大手はVVVで、少数精鋭だが全員が超人気Vtuberであり、トップの「ここねこ」であれば投げ銭だけで年間に数億円稼いでいるようだ。数億。プロ野球選手のトップクラスと同じくらいの収入である。ここねこの動画のハイライトを抜粋した切り抜き動画を何件か見たが…… 話が面白く、テンションも高く見ていて面白い。そして同じVVVのメンバーと絡んでいる時はさらに凄さが際立つ。常に会話の中心にいて、それでいて嫌味なく場を回している。


 2番手として言われるのはGURU UPである。VVVは女性のみの少数精鋭だが、ここは男性も含めた大世帯で100名上のVtuberが所属しているようだ。調べていると尖った配信者が多いようで、1年間全く自分では配信せず他人の配信にだけ顔を出すなんて人がいたり、1時間蝉になりきるなんていう動画が出てきたりした。普通の可愛らしい配信者やイケボの配信者もいるようだが…… 多様性を重視したグループなんだろう。いわゆるグループ全体を応援する箱推しと呼ばれるファンも多いようだ。


 3番手はVゲー。ここはVtuberがゲーム配信をすることに特化した箱のようだ。Esportsとして最近人気のシューティングゲームを中心に配信しているようで、配信中の面白いトークを抜粋した切り抜きが多数出てきた。ここもVVVと同じで可愛らしい女の子しか所属していないようで、女の子同士がきゃっきゃっしているところを眺めるのが好きな人にはたまらないそう。


 ネット上ではこの上位3つと、その他の箱という区分のされ方が多い。Vキャストで検索すると、「超個性的なVtuber集団。アングラ臭が人気」と出てきた。詳しく見てみると、エロ系の過激な配信から、Vtuberなのに実写として中の人が登場する(顔は隠しているらしい)配信など、大手の箱では見れない動画が多いことで、一部のコアなファンから圧倒的な人気を誇るらしい。高木の配信は普通だったが…… すごいところにいるんだな。1人圧倒的に有名なVtuberがいるらしいが、その人は半年ほど前に過激な問題発言を連発して現在謹慎処分中らしい。なんでも宗教の本を燃やす配信をしたとか。100%問題になるであろう行為が出来てしまうのがこの箱の特徴なんだろう。が、少し困惑してしまう……


 他にも事務所に所属せず、個人で配信しているVtuberもたくさんいるようだ。有名所でいうと、絵がすごい得意で、お絵描き配信をよくしている人や、兄弟で様々な企画を行い動画を投稿しているVtuber、素人女子と通話して卑猥な話を聞き出す人など……

 それぞれが独自のポジションを取っていて面白い。Youtuberに比べて実写でない以上様々な制限がかかる中で、どれだけ面白いことができるかという取り組みもVtuberの方向性の一つなのだろう。大手の可愛い声で可愛いヴィジュアルの女の子がただただ雑談したりゲームしたりしているのも良いが…… 個人的にはチャレンジをしているVtuberの方が面白そうだなと感じてしまう。


「広告剥がされちゃいましたー」なんて笑いながら話しているVtuberの方が、インターネット臭があって俺は好きだ。アングラ、と言う表現をするとそうなのかもしれないが、ギリギリを攻めてこそ配信者だと思う。たぬちゃもVtuberではないがそういう所が良い。日常にはない刺激、といえば良いのだろうか。色々な人が世の中には存在するんだと実感できるのが楽しいのだ。


 高木と話す際には企画についても意見を持っているのが良いだろう。皆、どんな企画をしているのかを見てみた。


1番多いのはゲーム配信である。ゲームしながら雑談をしている、という場合も多い。視聴者とコミュニケーションをしながら進めていく。ゲームはVゲーのようなシューティングゲームから、1人で遊ぶRPGや、懐かしいレトロゲームまで色々あるようだ。視聴者と一緒に盛り上がれるゲームであれば良いんだろうな。


次は雑談配信だ。これは本当にノープランで話す場合もあれば、匿名で意見を募集したりSNSでアンケートをとったりして、それについて話すこともあるようだ。トーク力が問われるのだろうが、距離感を近く感じることができる企画だろう。


歌を歌うというのも多い。大手だと「歌ってみた」という既存の曲をVtuberなりに解釈して歌う動画や、オリジナル曲(オリ曲と表現するようだ)も見かけるが、一般のVtuberは高木のようにカラオケ配信が多いようだな。後はVsingerを自称する人であれば語り引きというパターンもある。


Vtuberといったときに、生配信をする人も多いが、Youtuberのように動画を投稿する人もいる。企画を練って動画を編集して投稿するタイプだ。昔は主流だったが今は減っているようだが、それで人気になるパターンもある。やはり生配信と比べて不要なシーンがないので見やすいからな。企画力さえあれば全然その方向も問題ないだろう。


後は、最近の流行りとしてShorts動画がある。動画投稿サイトに最近追加された機能だが、1分以内の動画をShorts動画といい、気軽に見れることから人気がある。ここで人気を出していく人もいるようだ。1分にまとめるのは大変そうだが、今の流行りに乗るという選択肢もあるな。

 

 調べていくと色々知らない世界が見えてきて面白い。Vtuber? 可愛い女の子が話しているだけでしょ? と思っていたがそんな一言で語れる世界ではなさそうだ。俺は明け方まで夢中になって色々な動画を見ていた。

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