第221話 束縛(8)

 あの時のわたくしとドン宰相の、お互いがムキ! 本気になり言い争い! 口論──!


 そう、後々、あの場にいた重臣達が口を揃え、苦笑いを浮かべつつ告げ。噂になったのが。


 わたくしとドン宰相の言い争いは、まるで爺と孫の喧嘩と言うよりも?


 ドン宰相自身は、陛下よりも少しばかり年上だと言うこともあるからでしょうが。


 父と娘の、激しい親子喧嘩に見えたと、貴族間の間や宮殿内で噂になるほど激しく。一触即発状態へと陥った。


 だからドン宰相の孫に当たるロべリアと。その婿になるレオンは、わたくし達の身内らしく、両方の喧嘩を慌てて止めに入ったのだが。


 ドン宰相の、実の娘になるミネバは何故か?


 わたくしとドン宰相の言い争いに対して彼女は声を大にして荒々しく、罵声を放つこともしないで素知らぬ振り……。


 そう、双方の喧嘩を無視つづけ、どっちにもつかずと言った様子をとるのだが。


 その時の彼女の様子が、ルインいわく。


『ミネバ様は、自身の父君を見詰める目が大変に冷たく、冷めたもので……。まるで、ドン宰相に対して死んでしまえと言わんばかりの顔で見ていました』と。


 わたくしに告げてきたから。


「えっ! そうなのですか?」



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