第219話 束縛(6)

 そう、王都の裏社会の者達を震え上がらせ、震撼……。服従までさせたわたくしに対して喧嘩を売ってきた。


 それも、まるでわたくしの父親のように叱り、諫めるから、この男殺してやると。わたくしは思い、自身の指先を無詠唱で光らせた。


 でも、この時のドン宰相は、いつものように、自身の腰を引き、慌てふためきながら。


『アバ、ババ』と、腰を抜かしつつ、恐れ慄き、情けない男を演じる訳でもなく。このわたくしに対して、凛とした容姿、振る舞いで、睨み返してきたのだ。


 だからわたくしは更に憤怒! 自身の怒りが頂点に達した! だから殺してやる! と思い。


 自身の指先をドン宰相へと完全に向ければ。


「お姉様~。お辞めください~。わたくしのお爺様を殺さないでください~」


 ロベリアがわたくしの二の腕を掴み、自身の身体で抑え、ドン宰相を殺さないで欲しいと嘆願すれば。


「祖父殿も、どうされたのですか? いつもならば祖父殿が、こんなにもムキになり、場を荒々しくなされる事等ないではないですか? 今日は少しばかり変ですよ。祖父殿は」と。






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