第217話 束縛(4)

 でも、この時は陛下だけではなく、ドン宰相も何故かわたくしの身を案じて武器を手に取りことを諫め。


 他の者……。


 国の近衛隊長に頼むか?


 従姉のレオンの父親……。


 わたくしにとって叔父や義理の弟に当たりますが、公爵閣下に頼むべきだと主張をしてきたのですが。


 わたくしは以前から、この国の軍隊を、この手に掌握したいと言った思いがある。


 そうわたくしが軍馬の権限を手に入れることさえできれば。わたくしは自身の夫と、年が明ければ生まれるであろう、我が子を守ることは容易くなるから。


 わたくしが戦場となる地へと出向こうとすれば。


「ソフィア殿下! 危険ですから! 戦場に行くのはお辞めくだされー!」と。


「陛下からも何卒! ソフィア様が戦場に出向く事を叱ってくだされ! お願いします! お願いします!」と。


 ドン宰相は陛下へと何度も嘆願……。最後は、その場に座り込んで正座──。


 自身の頭を深々と下げながら、わたくしのことを叱ってくれとまで、なりふり構わず嘆願をする始末ですから。





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