第207話 陛下! (3)

 そんなことは、わたくし達家族には、どうでもいいことなので。


 陛下が一応は、ドン宰相あの男の顔色窺おうが、わたくしは、ドン宰相あの爺に対して、フンだ! と鼻息荒く。


 あの優男の、いつもニコニコ微笑んでくる、気持ち悪い男から、わたくしは幼少期から。


『姫様は、本当に活発なお子だ!』と。


『姫様は、もう少し、恥じらいある行動……。この国の皇女殿下らしく振る舞った方が宜しいのでは?』と。


 まるで わたくしの祖父か、父のような、上から目線で、あの男に諫められるように告げられてきたのだが。


 あの爺、ドン宰相は、いまだにわたくしのことを、そんな顔と目で見詰めてくるから。


 わたくしは時々あの男の足元に悪戯……。


 そう、わたくしは無詠唱で魔法を唱えて、光の魔弾を指先から放ち──。


 あの爺の足元へと穴──。


 床に小さな穴を開け、あの男を威嚇してやるのです。


 もしもわたくしの陛下につまらぬことをすれば、命が無い、直ぐに殺してやるから。


 そのつもりで、悪しきことをするようにと。

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