第208話 陛下! (4)

 そう、ドン宰相が、わたくし達夫婦へと差し向けてきた暗殺者の大半は。


 わたくしの魔法やルイン、ルイス、アンの旦那さまであるモルゼン卿や、その臣下の者達によってほとんど殺害されて。


 この国には、ろくな暗殺者が残っていないのだ。


 そう、わたくしやルイン、ルイス……。


 その他の幼馴染達によって王都の暗黒街、スラム、貧困層の住む裏町は、ほとんどと言ってよいほど仕切られているから。


 よい暗殺者、ならず者達が育たない環境へとなっている。


 だってわたくし達に逆らい、楯突くような組織は、直ぐに地上から排除──。


 みなさん綺麗にいなくなるから。


 このわたくし……。


 そう、この国の女王や陛下を殺そうと企てるような、腕の立つ者が闇から出現できないようになっている。


 そのことに重臣達は気が付いていないから、昔からしていた悪意ある行為、行動を、未だにおこなおうとしているのだ。


 わたくしの耳へと、全部と言ってよいほど話が入っているとも知らずにね。


 だから陛下の側近をしている、ドン宰相の息のかかったセバスでさえも。


 そろそろわたくし魔法が怖くなり。


 わたくしが部屋に入るなり、セバスのことをジロリ! と睨めば。



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