第205話 陛下! (1)

「陛下~」


 わたくしが陛下の政務室の扉を開け、甘え声音で夫を呼べば。


「……ん? おっ! きたか、ソフィア……」と。


 今まで下を向き、羽ペンで書類へとちゃんとサインをしている陛下……。


 そう、以前のように何でもかんでもドン宰相に政務を任せ、政を疎かにしていた陛下にわたくしは妃、妻らしく。


 自分の国のこと! 自分が必ず目を通し、サインをしないといけない書類には、自身で目を通して、サインをする。


 そう! 


 ドン宰相に対して宣戦布告──!


 自分はドン宰相あの男に女達を与えられ傀儡、操り人形でいる男ではない!


 自分には、ちゃんとした新しい家族ができた!


 だから、その家族と。


 この由緒正しい、王族を後世に残していくために自分は、もう、ドン宰相お前の好きなようには政務、行政をさせる気はないのだと、言った意志と決意を。


 わたくしはドン宰相に見せるようにと、陛下に喧しく、口煩くつげたのだ。


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