第113話 来客(2)

「お姉様~、今日はお庭の散歩ですか~?」と。


 そんなに嬉しそうに、足早で、こちらへと向かってくれば。


「ロベリア~、ドレスの裾が足に絡んで、ひっくり返り、怪我をしても知りませんよ~」と。


わたくしはここでゆるりと花と景色を見詰めつつ堪能しているので。今の今直ぐ、何処かに移動をすると言うことはございませんから。ゆるりとこちらへと向かってきなさい。ロベリア~」


 わたくしロベリアあの子の姉としてではなく、義母として優しく、温かい目で見詰めつつ告げた。


「はい、お姉様」


 ロベリアは以前のようにわたくしに対して、敵意を剥き出しにしながら呻り、ワンワンと吠えると言うことはなく。


 まさにわたくしに飼われた子犬のように超機嫌よく、尻尾を振りつつ、こちらへと向かってくるようになったのだ。


 そう以前、わたくしが陛下へと出した策……。


 城内に居るわたくしの敵となる者を一人でも減らしていく離反の計なのですが。


 わたくしの元許嫁のレオンがいくら嫌がりを見せ、拒否しようが、強引に彼とロベリアの結婚……。


 それもわたくしの時のような、レオンを婿養子と迎え、次の国王にすると言った話しではなく。


 ロベリアをレオンの許……。


 ラ・フォール公爵家へと嫁に出すと言った提案なのですが。


 陛下はレオンがわたくしの側や周りをうろつくの気に入らない。


 わたくしの他界をした母や義母のようなってもらうと困る。


 だからわたくしの身近に若くて、容姿端麗な男達が近づくのをよしと思わないのと。


 ロベリアはどんな感じでもいいから、自身の愛する白馬の王子さまを、自分だけの物! 独占をしたい思いがあるのと。


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