第108話 庭園の思い出(2)

「ええ、そうですね。そうしましょうか……。今日は久しぶりに庭園でゆるりと……。そう、子供の頃のように遊びましょうか」


 わたくしがアンへと告げれば。


「そう言えば? 女王陛下は、幼い頃に、良く庭園の中でかくれんぼ、等をしては、花を踏み潰すからと母上様に良く叱られていましたね」と。


 アンがわたくしの幼少期──。


 じゃじゃ馬、お転婆時代を思い出しながら、「うん、うん」と首肯しながら首を縦にふる様子をわたくしは凝視すれば。


「そんな頃もありましたね」


 わたくしは声を漏らしつつ、庭園に綺麗に咲く花達から空──。


 この青空を眺めつつ、わたくしの遠い過去……。


 まだわたくしの母が生きていた頃のことを思い出すのだ。


 特に母が生きていた頃は、彼女が大変にこの庭園を大事にしていたので、よく足を運んでは庭園の様子を窺いつつ。


 陛下と仲慎ましく散歩をする時もあれば。


 幼いわたくしを連れて親子で仲良く散歩──。


 他界した母に色々な花の名前を教えてもらったものだと。


 わたくしは幼い頃の、母との楽しい思い出を走馬灯が回るように、青空を見詰めながら思い出す。

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