第107話 庭園の思い出(1)

「うわぁ~、今日も庭園はよく手入れをされていますね」


「えぇ、そうですね、女王陛下」


「やはり、春だと色々なお花が咲きますね……。本当に綺麗……。綺麗ですね……」と。


「何て素晴らしく、綺麗なのだろう~!」


 わたくしが、お城の庭園の真ん中──。


 中心辺りで、自身の胸の前で両手を握り、歓喜の声を上げつつ、春先に咲く花の美しさに魅入り、酔いしれながら感無量……、


 そして大袈裟過ぎるぐらい大きな声を放てば。


「女王陛下の言われる通りで、本当に綺麗ですね……」と。


 アンも綺麗に花を咲かせている春先の木々や花々を見て微笑みながら歓喜の声を上げると。


「女王陛下のお腹にいらっしゃる陛下のお子様の成長にも良さそうですね」とも告げると。


「女王陛下?」


 アンがわたくしへと声をかけてきたので。


「……ん? どうしたのですか、アン?」


 わたくしが言葉を返せば。


「女王陛下、あちらのガーデンテーブルや椅子を使用して、ゆるりとお茶にでもしますか?」


 アンはわたくしにニコリと微笑みながら告げてきた。


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