第97話 お城に戻った私(5)

わたくしはもしも、仮に? あなたが他界をするようなことにでもなれば。わたくしは本当に寂しくて仕方がないのです。だからわたくしを早くから一人にしないでください。あなた……。それにわたくしはあなたの子を一人だけ産もうと言う気はございません……。最低でも片手の人数ぐらいは……。いや、できればあなたには頑張ってもらって、両手ぐらいの人数の子供達は産みたいと思っています。だから長生きをしてください。あなた……」と。


 わたくしは自身の目を潤ませつつ、嘆願をする、だけではなく。


「陛下~」と。


 わたくしは涙を流しながら「抱っこ~」と呟きつつ。



 陛下に抱きつき、甘え始め、接吻を要求するのだ。


 陛下は、今から勤めがあるのに。


 わたくしは幼い頃より、母や義母、側室の女達とは違い、陛下一筋だから、夫に甘えることができなくなると本当に辛い。


 だから幽閉され、独り身で暮らしていた時は、本当に辛かったから。


 わたくしは何度も死のうと試みた。

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