第95話 お城に戻った私(3)

 ランチとディナーはこの部屋ではなく別の部屋──。


 ダイニングルームにて食事をおこなうので、わたくしもお供もさせて欲しいと毎日嘆願をおこなっている。


「うん、ソフィア、分かった。儂と一緒に食事をしよう」


 陛下はここでもちゃんとわたくしが夫の中での一番だと快く告げてくれる。


 だからわたくしは嬉しくて仕方がないから。


 自身のお腹を優しく、労りつつ、撫でながら。


(今日もあなたのパパがね。ママと、あなたと一緒に食事をしようと言ってくれるの。だからよかったわね)


 わたくしは嬉しそうに、お腹の子へも陛下が、自分達親子を大事にしてくれていると報告していると。


「ソフィア?」と、陛下に呼ばれたから。


「……ん? 陛下、どうしたのですか?」


 わたくしは自身のお腹を撫でながら、お腹の子に話しかける行為を辞め、顔を上げ──首を傾げると。


「ソフィアが儂の為にとしてくれている食事の毒味なのだが。お前はしなくても良い。お前やお腹にいる儂の子に、何かあれば大変だから。ソフィア、お前が毒味をする行為は辞めてくれぬか?」


 陛下は今日も大変に困った顔をしつつ、わたくしやお腹の子の身を案じて毒味をするなと告げ、諫めてくるから。


 わたくしは今日も陛下に。


わたくしとお腹の子なら大丈夫ですよ」と。


 本当に心配をした顔をしている陛下に、わたくしは微笑みながら告げ。


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