第87話 容疑者の一人(12)

「じゃ、おじさま~。この男は、自害して果てたいみたいだから。わたくしが精霊の力を使用して、天誅を与え、あの世へと送ってもかまいませんね?」と。


 わたくしはウルソーへと告げると。


「「「「「えっ!」」」」」


 この場にいる者達……。


 そう、隊長のウルソーも含めた近衛騎士団の者達は、わたくしの台詞を聞き、驚嘆を漏らすのだが。


 わたくしはそんなことなどお構い無しに。


 自身の口を開き。


「マリオネット!」と。


 冷淡な目で微笑みながら告げると。


「うっ、うが、うぉ、あが、ががっ」と。


 わたくしの魔法で、まだは会話……。


 そう、自分自身で死を選び、自害をして果てられても、わたくし自身は大変に困る。


 わたくしの本当の恐ろしさを、このスケベなおじさま……。


 わたくしの他界した母の不倫相手……。


 そうわたくしの大事で、愛おしい陛下を裏切った男の一人であるウルソーと、その主に教えるためのおもちゃなのだから。


 彼には勝手に死なれると困るから。

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