第86話 容疑者の一人(11)

 するとこの男は……。


 そう、わたくしが他界した母のように、自身の肢体を夫以外の者に捧げようと安易にしないから。


 不機嫌極まりない顔、容姿でいたのだが。


 わたくしの様子を見て──!


 この男は根っからのスケベだから……ッて、わたくしの陛下も、本当にスケベですから。


 まあ、余り変わりは、無いのですが。


 まあ、わたくしは陛下を尻に敷いていますから。


 おじさんの扱いは、大変に巧妙なので。


 ウルソーはまた自身の鼻の下を伸ばしつつ。


「姫殿下……。それは当たり前のことですよ……。この男はお金で雇われたヒットマンのようですから。安易に雇い主を教えませんし。この男もプロだから任務に失敗すれば、自分で自害をして果てますよ」と。


 ウルソーはケラケラと笑いながらわたくしへと告げてきたので。


「そうですか」と。


 わたくしはウルソーへと言葉を返せば。


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