第85話 容疑者の一人(10)

 でも、この男は白みたいだから。


 わたくしは(まあ、いいか?)と、自身の脳内で呟けば。


 この男は、ドン宰相の息のかかった近衛騎士団の隊長! 将軍には変わりはないから。


 この男……。


 そう、このわたくしのことを襲ったスナイパーには、ドン宰相への宣戦布告の生贄になってもらうつもりでいたから。


 このどうしようもない男へと、わたくしや陛下に逆らい、楯突けば。


 どんな恐ろしい目に遭うかを観てもらおうと思いますから。


「おじさま~?」


「ん? 何かな、姫殿下?」


 この男はやはりバカで懲りない男だから、わたくしが少し悩んだかをした後に声をかければ。


 自身の顔、仕草、容姿を凛とさせながらわたくしへと言葉を返してくる。


 そんな男へとわたくしは、自身の口を開き。


わたくしは母とは違って、この身は陛下だけの物であり。わたくしは心身ともにあのひとの性玩具おもちゃであり、性奴隷ですから、陛下を裏切ることができないのですよ。おじさま、本当にごめんなさい」と。


 わたくしは妖艶に笑いつつ、ウルソーへと説明をすれば。


「それはそうとおじさま? この男……。わたくしのことを暗殺しようとした者なのですが。わたくしが先ほどから彼に。わたくしのこと殺害するように命令をした者は誰なのですか? と。わたくしが尋ねるのですが。この男、自害をしようとするばかりで、わたくしを殺そうとした首謀者を言わないのですよ。だからおじさま~。わたくしは大変に困っているのです~」と。


 わたくしはウルソーへと可愛く、上目遣いを使用しつつ、甘え声音で御機嫌取りをするように告げる。


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