第88話 容疑者の一人(13)

 わたくしは相変わらず、ヒットマンの男が、自身の顎を動かすことができなくしているので。


 男の口からは、声にならない台詞と呻り声……。


 そう、ヒットマンの彼は、わたくしの魔法の一つ【マリオネット】のために。


 自身の自由が奪われるだけではなく。


 操り人形のような容姿、姿勢で、自身の身体が空中に浮くから驚愕……では、ないようですね?


 彼は真っ青な顔をしつつ震え慄いているのですよ。


 神に! 女神に! 楯突いた自分に、今から何の天誅が起きるかわからないので。


 恐怖に震え慄いているから。


 わたくしは傍から見ていて本当にお可哀想にと、慈愛の念を込め思いつつ。


 自身の両腕を上げ!


 楽器隊の指揮者が、両手を上げ、演奏を式! 奏でるように振りながら!


「ほらぁ~、貴方~、舞いなさい。みなの目の前~、わたくしの目の前で舞い。この場にいる者達を歓喜! よろこばせてあげなさい! さぁ~、早く~!」


 彼! ヒットマンの男へとわたくしは急かすように告げ、嘆願をすれば。


「はい~!」と甲高く、わたくし叫ぶ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る