第46話 妹(6)

わたくしは別に、あなたに対して可笑しいことを申したと思いません」


「ん? どう言う事だ。ソフィア?」


 陛下が怪訝な表情でわたくしを見下ろしながら尋ねるから。


「陛下、仮に、ですよ? わたくしがこれから先に、レオンと交わる不祥事を犯すことが遭ったとしても。その時にレオンから、自分と陛下とではどちらのことを好いている? と尋ねられれば。わたくしは二の返事で、レオンに陛下だと言葉を返す自身があります」と。


 陛下に説明をすれば。


 本当に陛下は可愛いぐらい困ったちゃんな顔をするから。


 わたくしのことを見下ろす、陛下の肩に両腕を回し、そのままギュッ! と抱き締めながら。


「ふっ、ふふふ」と嬉しそうに微笑みつつ。


「あなた~?」と。


 わたくしは嬉しそうに夫へと声をかけると。


「ん? 何だ、ソフィア?」と。


 あのひとは不貞腐れた声音で言葉をかえしてきた。


 そんな夫へとわたくしは。


わたくしの子供の頃のことを覚えていますか?」と尋ねる。


「ん? ソフィア……。子供の頃の事って、どの事を申しているのだ?」


 わたくしは相変わらず、大変に困ったちゃんになっている夫へと。


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