第45話 妹(5)

「ふっ、ふふふ」と、わたくしは陛下に恐れ慄くこともしないで、妖艶に薄ら笑いを浮かべつつ。


わたくしはあなたに対して嘘偽りなど申していませんよ。わたくしはあなたが、この世で一番好き、愛しています。だから幼い頃より。夫であるあなたに対して不満も申さずに、心から尽くしたつもりですが。あなたは、わたくしのこの気持ちを信じられませんか?」


 夫に問えば。


「だから儂は先程、ソフィア。お前がこの世界で一番だと申したではないか? なのに、何故、ソフィア、お前は、再度儂に、嘘偽りがないか? を尋ねてくるのだ。それは可笑しいではないか?」


 夫はわたくしの言葉を聞き、困惑……。


 どうしたら自分の気持ち、わたくしへの想いを信じてもらえるのかと尋ねてきた。


 だからわたくしも夫の言葉を聞けば、二度目……。


 まあ、再婚と言ってもよい関係は大丈夫だと信じている、と言うよりも?


 どう考えても成人したわたくしの容姿の方が、義母あのひとの容姿よりも優れていることは間違えない。


 だからドン宰相の計略で、夫の口からわたくしへとレオンや国の果ての貴族の許へと嫁にいくようにと。


 二度目の離婚宣言を申しつけられることはないとは思いますが。


 これもわかりませんから……。


 特にわたくしのお腹の中に、夫の子がいるとわかれば。


 どんな策を、あの親子は練り、実行してくるかわかりませんから。


 再度陛下に、わたくしへの愛と忠誠心を調べるためと。


 わたくしがふと閃いた策を実行するために口を開く。



 ◇◇◇

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