第44話 妹(4)

 わたくし自身も、あのような失態を二度と味わいたくわない想いがあるから。


 ここでちゃんと陛下の妃らしく説明をしておかないと。


 わたくしのお腹の中に、子供ができた時に、夫の子ではなのでは? と。


 わたくしは他人の噂話で、夫に猜疑心をもたれるのが一番いや!


 そして悲しくなると思うから。


 ここでちゃんと説明をしておこうと思うから。


わたくしは元許嫁、婚約者だったレオンのことが好きだと思います」と告げる。


「はぁ? ソフィア、お前は、先程儂に。レオンのことなど好きではないと申したではないか?」、


「あれは! あの言葉は! この儂を騙す為に。そなたが策を練り告げた。嘘偽りなのか?」


 陛下は、自身の顔を完全に上げ──!


 恐ろしい形相──!


 そう、先ほどと一緒で、わたくしとレオンに対して嫉妬と憎悪を含んだ顔で!


 妃であるわたくしのことを睨み、呻り、吠えてきたけれど。


 別にわたくしは夫のことが怖い訳では御座いませんから。


 陛下がわたくしのことで嫉妬に狂う姿を凝視すれば嬉しくて仕方がないから。


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