第41話 妹(1)

 わたくしには血を分けた妹が一人だけいるのですが。


 陛下の正室、側室の数を考えると。


 陛下は余り子宝に恵まれない星の下に産まれたのではないかと。


 長女のわたくしは思うのですが。


 まあ、実際のところは、陛下の精気、子種に余り勢いがないのでしょうね。


 わたくし自身も幼い頃から、陛下の世継ぎを懐妊するように頑張ってはいますが。


 いまだに妊娠をしないと言うことは。


 今まで沢山の約束ごとを破り続けた陛下……。


 そう、わたくしの隣国の王であった祖父との約束……。


 そう、病弱なお母さまを妃として迎えるに至って、祖父と約束した。


 お母さま以外の女性を愛すこともしないし、妃として迎えることもしないと。


 男性同士の固い約束をあのひとは、母が死んだ悲しみと寂しさに耐え切れなくなり。


 幼いわたくしに母の面影を求め、親子関係以上の溺愛をし。


 まだ幼いわたくしであろうとも、一人の女性として愛してきた。


 だから最初は抵抗をしたわたくしではあったが。


 元々父親っ子のわたくしは直ぐに無抵抗……。


 心からわたくし愛してくれるあのひとの愛を受け入れ、幼いながらも妃の座に就いた。


 だからだろうか?


 わたくしのお腹に陛下の子が宿らないのは……。


 他界したお母さまの嫉妬と憎悪の呪いなのかも?


 それとわたくしの精霊付きの病は、他界したお母さまの、娘であるわたくしへの呪い。


 自身が心から愛した王を、娘のわたくしが完全に奪ってしまったのだから。


 母は冥府でわたくしのことを呪い続けていると思います。


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