第33話 小鳥のように飼われる人生……(2)

 わたくしはあのひとのことを、小さな子供でも諫めるように優しく、微笑みつつ、叱りながら。


 自身の部屋の扉の鍵をあのひと……。


 わたくしの夫である、国王陛下のために。


 ガチャ、ガチャ! と、嬉しそうに開けると。


 わたくしの夫は部屋に入るなり、大変に恐ろしい顔で睨む。


 だからわたくしは、そんな夫の顔を、不思議そうに見詰めつつ。


「あなた、どうしたの?」と。


 わたくしが可愛く、首を傾げた瞬間に。


 夫はわたくし頬を打った!


 だからわたくしの口から。


「きゃぁ、あああっ!」と絶叫が放たれ。


 わたくしは床に倒れ込んでしまう。


 でも、そんな弱々しい様子のわたくしを見てもあのひとの怒りは収まらない。


 だってあのひとはわたくしが、夫にばれないようにしながら。


 元許嫁、婚約者であるレオンと逢引き繰り返していると思っているようだから。


 あのひとの怒りは……。


 そう、自分の物! 妃である! わたくしへの怒りは、収まりきれないようだから。


 あのひとは、床に倒れ、「うぅ、うううっ」と嗚咽を漏らしだしたわたくし……。


 何で自分が夫に殴られたのか、理解に苦しみつつ、悲しみに耽るわたくしの、この綺麗な金髪の髪を。

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