第32話 小鳥のように飼われる人生……(1)

 ドン!


 ドン、ドン!


「お、おい! ソフィアはいるか? 起きているか?」と。


 あのひとから与えられた物語の書物をわたくしは。あのひと好みの寝間着……。


 そう、自身の乳房や下着が透けて見えるような物に着替え。


 あのひとがいつ訪ねてきてもいい準備をして、ベッドに座りながら読書を楽しんでいると。


 わたくしの部屋の扉を荒々しく叩き──。


 わたくしが居るか? と、訳のわからないことを荒々しく告げるあのひと……。


 そう、わたくしは、精霊付きの病気をいいことに。


 あのひとに幼い頃から、他界をした母の代わり、自身の妃にするために。


 篭の中で飼われる小鳥のように、囲われた生活を続けてきたわたくしですから。


 あのひとに『ソフィアは居るか?』と尋ねられる方がわたくしは「クスッ」と笑みがもれるので。


「もう、あなた~、どうされたのですか~?」と。


「あなた~、まさか、お酒を沢山飲まれ、急に寂しくなり、ここまでこられたのではないでしょうね?」と。


 わたくしは薄ら笑いを浮かべながらあのひとへと尋ね。


「以前にもわたくしは諫めたはずですよ。あなた~。そんなことを長くされると御身体を壊されて、早死にをし、ソフィアを置いて他界をし、悲しませるようになるから辞めてくださいと。わたくしは心から嘆願、諫めたはずですが」と。


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