第34話 小鳥のように飼われる人生……(3)

 あのひとは鷲掴みにして、強引に持ちあげ! 俯く、わたくしの顔を上げると。


 レオンとわたくしのことを誤解して、嫉妬に狂う夫は。


 いくらわたくしが、あのひとの顔を見詰めながら涙を流そうが。


 いつものあのひとらしくない振る舞いで。


 わたくしに対して慈悲もない、恐ろしい形相で睨みつけてくるから。


「うっ、うううっ。あ、あなた……。幼い頃からあなたのことを愛し、尽くしてきたわたくしが。あなたに対して何をしたと申して、このような酷いこと、仕打ちをするのですか?」


 わたくしは夫に対して涙を流しつつ不満を漏らした。


 だってわたくしはみなさんも知っての通りで、幼い頃に精霊付きに侵され。


 この幽閉棟の監禁部屋へと連行されてからは、夫に飼われた小鳥で。


 あのひとのためだけに鳴き、尽くしてきた小鳥ですから。


 わたくしは、自身の夫から理不尽な体罰を受ける理由が見つからない。


 だから不満を漏らす。


「はぁ、ソフィア。お前は、何を言っている! お前とレオンは、儂の目を盗んでは逢引きを繰り返していると言った、噂が立っているではないか! それをどう説明をするのだ! ソフィア! 儂に説明をしろ!」


 するとあのひとは、わたくしが理解できないこと。


 身に覚えもないことを、説明をするようにと。


 わたくしに荒々しく告げてくる。

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