第28話 嫉妬(9)

「ロベリア?」


「……ん? 何ですか、お母様?」


「妾は体調が優れないので部屋に戻ってもよろしいでしょうか?」


 義母は、大変に体調が優れない様子を装いつつ、自身の娘であるロベリアへと告げる。


 自身の父であるドン宰相に、このことを報告して、何かよい策を練ることをしなければいけないと思ったみたいですね。


 当の本人であるわたくしは義母やドン宰相に対して危害を加える気は今のところない訳、どころか?


 あのひとを、この身で狂わしてしまい。


 義母の幸せを奪ってしまったわたくしですから。


 彼女には大変に悪いことをしてしまったと。


 わたくしは心から罪意識があるので。


 幼い頃はわたくしから国王陛下あのひとやレオンを奪ったあの女のことを。


 何度も憎いと思いましたが。


 今は逆で、本当に悪いことをしている罪意識の方が多々あります。


 あのひとは本気で、わたくしが産んだ子を王位につけるつもりのようですからね、と。


 わたくしの復讐の方は、もうとうに終えているのだと、説明をしたところで話しを元に戻しますが。


 義母の急な体調不良を聞いたロベリアはと言うと?


「えぇ、別に構いませんわよ。お母様……。わたくしはレオンお兄様が側にいてくれれば大丈夫ですから」と。


 自身の母である女王閣下へと告げると。


 ロベリアは慌てて、レオンの二の腕へと、自身の腕を絡め、しな垂れ、甘えて魅せるのだ。


 自身の母と父が邪な策……。


 そう、姉のわたくしが耳にすれば、悲しみに耽るような策を練りやすいように。


 自分は姉の元許嫁、婚約者だったレオンのことが好きで仕方がないのだと言った様子を魅せ。


 両親へと印象つける。


 そんな様子のロベリアのことをレオンは直ぐに迷惑に思う。


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