第29話 嫉妬(10)

 だって彼は、未だにわたくしのことが好きで仕方が無い。


 この精霊付きにエルフ耳を見ても。


 彼は幼少期から綺麗だ! 可愛い! と。


 わたくしの耳を褒めてくれていますから。


「あっ、はははっ。姫殿下……。国王陛下と女王閣下が見ていらっしゃる前ですから。流石にこれは不味いですよ……。私は姫殿下の姉上様の元許嫁、婚約者の立場ですから……」


 レオンは笑い誤魔化しつつ、何とかロベリアの腕を離そうと試みたみたい。


 それもレオンは、初恋の相手であるわたくしのことをまだ諦めていない。


 まだわたくしのことをレオンは妃として迎える意志があるのだと。


 国王陛下あのひとに見せてしまう行動にでるから。


「ロべリア?」


「……ん? 何ですか、お父様?」


「あ、あのな、ロべリア……。私も妃ではないが。こう言った席は、久し振りになるから、気疲れで疲れ、体調が崩れてしまった。だから部屋に戻って休んでもよいか?」と。


 あのひとは、わたくしのことを、まだ諦めようとしない、レオンのことが憎くて仕方が無い。

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